国連報告者が安倍首相に「共謀罪は人権に有害」の警告文書!「国際組織犯罪防止条約のため」の嘘も明らかに

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
国連報告者が安倍首相に「共謀罪は人権に有害」の警告文書!「国際組織犯罪防止条約のため」の嘘も明らかにの画像1
左・安倍晋三公式サイト/右・菅義偉ホームページより


 きょう23日午後にも衆院本会議で強行採決される見通しの「共謀罪」法案。その後、参院での審議にはいるが、政府・与党は数の力で押し切り、この戦後最悪の言論弾圧法案を、会期中の成立に持ち込む目算だ。

 そんななか、ついに国際社会からも、日本の共謀罪法案とこれを強行する安倍政権に対する強い懸念が出され始めた。

 5月18日付で、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授)が、共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍首相宛てに送付したのである。ケナタッチ氏は、マルタ出身のIT法の専門家。一昨年より国連人権理事会によりプライバシー権に関する特別報告者に任命されている。

 国連の特別報告者が、直々に日本の首相へ書簡を送った意味は非常に重い。というのも、安倍首相は「国内法を整備し、国際組織犯罪防止条約を締結できなければ、東京五輪を開催できない」などと言って、共謀罪の理由を国連条約締結のために必須であると説明してきたが、これが真っ赤なウソであることが、他ならぬ国連特別報告者に暴露されたからだ。

 書簡は国連のホームページで公開されている。タイトルは“Mandate of the Special Rapporteur on the right to privacy”(プライバシー権に関する特別報告者の命令)。ケナタッチ氏は〈人権理事会の決議28/16に従い、プライバシー権の特別報告者の権限において〉この書簡を安倍首相に送るとして、英語でこのように書いている。

〈いわゆる「共謀罪」法案は、その広範な適用範囲がゆえに、もし採決されて法律となれば、プライバシーに関わる諸権利と表現の自由の不当な制限につながる可能性がある〉
〈同法案は、国内法を「越境的組織犯罪に関する国連条約」に適合させ、テロとの戦いに努める国際社会を支える目的で提出されたという。だが、この追加立法の適切性と必要性について数々の疑問がある。
 政府は、この新法案によって捜査対象となるのが「テロ集団を含む組織的犯罪集団」との現実的関与が予期される犯罪に限定されると主張している。だが、何が「組織的犯罪集団」に当たるかの定義は漠然で、明白にテロ組織に限定されているわけではない〉

国連特別報告者が「恣意的に適用される危険性」に深刻な懸念

 すでに国内の専門家からは、共謀罪がテロ対策等の国際条約の批准条件ではないという事実が指摘されていたが、国連の特別報告者もその安倍政権の欺瞞を冷静に指摘しているのだ。

 書簡では、ほかにもこの共謀罪に対する懸念・疑問点が極めて論理的に示されている。たとえば、共謀の対象となる277種の犯罪のうち、森林法や文化保護法、著作権法など〈組織犯罪やテロとまったく無関係であるようにしか見えない〉法律についても共謀罪が適用されてしまうこと。捜査のなかで犯罪立証のため、起訴前の監視の激化が予想されること。そして、〈「組織的犯罪集団」の定義における漠然性が、たとえば国益に反するとみなされたNGOへの監視を合法化する機会を生み出すと主張されている〉とも踏み込んでいる。

 つまり、共謀罪が政府の恣意的運用による一般市民への不当な監視活動を正当化すると、国連の特別報告者も認めているのだ。ケナタッチ氏は、共謀罪が導く看過できない人権侵害を強く憂慮している。
 
〈提案された法案は、広範に適用されうることから、他の法律と組み合わせることで、プラバシー権やその他基本的な人々の自由権の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されている。とくに、私が懸念しているのは、この立法において何を「計画」や「準備行為」とするのかという定義が漠然であり、そして(法案の)別表にテロ及び組織犯罪とは明白に無関係な広範すぎる犯罪が含まれていることから、恣意的に適用される危険性である〉
〈法的明確性の原則は、法律のなかにおいて、刑事責任が明確で緻密な規定によって限定されねばならないと求めており、不当な禁止行為の範囲拡大なしに、どのような行為がその法律の範疇であるかを合理的にわかるよう保証する。現在の「共謀罪法案」は、漠然で主観的な概念が極めて広範に解釈される可能性があり、法的不確定性を招くことから、この原則に一致しているようには見えない〉
〈プライバシー権は、この法律が広範に適用されうることによってとりわけ影響を被るように見える。さらに懸念されるのは、法案成立のために立法過程や手順が拙速になっているとの指摘から、人権に有害な影響を与える可能性だ。この極めて重要な問題について、より広い公共的議論が不当に制限されている〉

官邸は国連を批判、まるでリットン調査団を拒否した戦前日本

 こうした指摘は極めて重要だろう。国民のプライバシー権や思想の自由などがこの法案で否定され、憲法が保障するはずの「通信の秘密」も骨抜きになるのはもちろん、周知のとおり、共謀罪の審議過程では、担当大臣の金田勝年法相が答弁不能の醜態をなんどもさらけだし、政府も説明を二点三転した。それは、逆説的に法案の目的から対象までが時の権力の解釈次第でなんでもありになるという、おおよそ近代法とは思えない欠陥法案であること意味しているが、一方で、こうして政府が説明責任を放棄したことにより、国民にこの法案の意味するところが伝わらず、国連特別報告者が指摘する「より広い公共的議論」は皆無だった。

 逆に言えば、安倍政権がここまで成立を急くのは、「国民が共謀罪の危険性をよくわかっていないうちに通してしまおう」という魂胆があるからに他ならない。あまりに国民軽視としか言いようがないが、しかもこの悪法によって制限される国民の諸権利は、成立後には二度と戻ってこないという悪夢のような状況にある。何度でもいうが、国連の懸念は、この安倍政権のやり方が国際社会から見てもいかに異常であるかを証明するものなのだ。

 ところが安倍政権は、この国連特別連報告者から送られた書簡さえも、まったく聞く耳を持たず、撥ね付けるつもりらしい。菅義偉官房長官は昨日の会見で、書簡について「不適切なものであり、強く抗議を行っている」「政府や外務省が直接説明する機会はない。公開書簡で一方的に発出した」などとうそぶき、国連との“徹底抗戦”の構えまでみせた。

 するとケナタッチ氏は、今日の東京新聞朝刊で菅官房長官に猛反論。同紙の取材に対し、日本政府の対応を「中身のないただの怒り」と鋭く批判した。ケナタッチ氏によれば、菅官房長官の言う「強い抗議」は19日午後にあったが、それはたったの約1ページ余りの文書にすぎず、「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」という。つまり、安倍政権は完全に説明を放棄し、国連にまで矛を向けているのだ。

 ネットでは安倍政権のこうした姿勢に「まるでリットン調査団の報告書を拒否して、国際連盟を脱退した戦前の日本」などというツッコミもされているが、このままでは、この「平成の治安維持法」が強行されてしまうだけでなく、日本が国際社会から孤立してしまうのは火を見るより明らかだろう。

 安倍首相は21日の北朝鮮によるミサイル発射実験に対して「世界に対する挑戦」と凄んだ。しかし、国際社会の懸念を無視し、暴走を続けているのは安倍政権も同じだ。共謀罪を廃案にするため、最後まで徹底して反対の声を上げ続けるのはもちろん、一刻も早く、この暴走政権を国民の手で終わらせなければならない。

最終更新:2017.05.23 03:17

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

国連報告者が安倍首相に「共謀罪は人権に有害」の警告文書!「国際組織犯罪防止条約のため」の嘘も明らかにのページです。LITERAは政治・マスコミ・ジャーナリズム・オピニオン・社会問題や芸能(エンタメ)・スキャンダル・カルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。共謀罪、国連、安倍内閣、編集部、菅義偉の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 高市早苗“G7ドタキャン”言い訳の嘘と本当の理由を徹底検証!
2 吉村知事「1日で文通費100万円」ごまかし手口!リテラの取材のあとに
3 「自衛隊は経済的に厳しい子が」は事実 貧困層を標的にした隊員募集
4 キティ、マイメロが戦争反対を訴え!
5 葵つかさが「松潤とは終わった」と
6 おおさか維新が政党交付金を返還逃れ!?
7 自衛隊が小学生まで「自衛官勧誘」目的のパンフレット作成
8 維新が昨秋、カネに不透明な自民党との連立は「不可能に決まってる」宣言
9 読売テレビが子ども相手に竹田恒泰の「フェイク皇室史」刷り込み放送
10 山里亮太が『銀河の一票』を賞賛し批判を受けた理由
11 古代史研究者が「神武天皇から続く伝統」に抗議声明 読売テレビも
12 RADWIMPS野田洋次郎の優生思想丸出し差別発言の背景にあるもの
13 高市早苗が「戦争をしたがっている」ことを証明するトンデモ発言集!
14 結婚した綿矢りさの大失恋体験
15 「アジア大会」運営を大阪万博の工費未払いトラブル会社が受注
16 田宮二郎自殺の真相を夫人が告白!
17 小泉防衛相ら靖国参拝 靖国のグロテスクな戦争礼賛の本質
18 吉高由里子が元カレに言った一言
19 ヴェネツィア映画祭で反響 元米兵・ネルソンさんが語った戦争
20 吉高が“私の裸を見て”と迫った男

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄