娘の障害を公表した菊池桃子に西川史子が「利用している」と噛みつく!菊池の真の思い、社会構造への憤りを知れ

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菊池桃子『午後には陽のあたる場所』(扶桑社)

 現在、「1億総活躍国民会議」に有識者のひとりとして参加しているタレントの菊池桃子。本サイトでは、その席上での菊池の発言が、社会的弱者を冷遇する安倍政権への真っ当すぎるツッコミに溢れているとして紹介、大きな反響が寄せられた。

 そんな注目が集まるなか、菊池は昨日17日に長女の障がいや次男を死産した経験を告白した著書『午後には陽のあたる場所』(扶桑社)を発売。16日放送の『ノンストップ!』(フジテレビ)では菊池がVTR出演し、「(障がいを)隠していることが、同じ人間として娘に対して失礼に思えてきた」と、今回著書を発表するにいたった経緯を説明した。

 しかし、これにコメンテーターの女医・西川史子が噛みついた。

「芸能人が自分の子どもの障がいを隠さないで出してしまうってことは、私にとってはちょっと理解できない。利用してるんじゃないかと」

 その後、一応、西川は「見せることによってほかの人が救われたらっていう思いもあるんだろうな」とも語ったが、子どもの障がいを利用しているのでは? と非難したことについては撤回することなく終わった。

 西川にしてみれば、芸能人ならば話題づくりと思われるから子どもの障がいは隠すべき、と考えているのかもしれない。だが、“芸能人だからと障がいについて隠していることが娘に対して失礼”と本人が明かしているように、菊池にはそのような打算はないように見える。いや、そればかりか、話題の著書を読んでみると、菊池には確固たる強い意志があることがよくわかる。

 菊池は本のなかで、長女の障がいについて、このように記述している。

〈長女には障がいがありました。乳児期に脳梗塞を患い、手足には後遺症がありました。そして、障がいがあるゆえに、幼稚園や小学校を探すことが難しいという現実が、そこにはありました。地域での就学相談も頼りになりません。そんななかで、健康な長男と体の弱い長女を比べると、子どもたちを取り巻く社会構造に、疑問や憤りを感じずにはいられない日々を過ごしていました〉

 社会構造への憤り──。その話の前に、まず、長女の出産以前に起こった悲しい出来事にふれる必要があるだろう。

〈これまでほとんど語ることはありませんでしたが、わたしには長男・ユキと長女・サユという2人の子どものほかに、もう一人子どもがいました。
 長男・ユキを出産した、その2年半後に次男を死産というかたちで亡くしてしまいました。とても辛い思い出です〉

 次男を妊娠していた8カ月のときだった。超音波検査を受けたところ、医師から「成長が遅い、体重が増えない」と指摘され、羊水検査では〈18トリソミーという、染色体の異常が偶発的に起こる病気であること〉が発覚した。このとき菊池は〈当時、この病気のお子さんが、外国では15歳まで生きた事例があることを説明され、親子で病気と闘っていく覚悟をしていました〉という。

 だが、次男は〈陣痛が始まってすぐに動きを止めてしま〉った。そのときのことを、菊池はこう振り返る。

〈「生きています! 先生触ってください、動いています!」
 そう訴えましたが、「それはお母さんの腸の動きです。間違いありません」と静かに諭されました。
 母としてしてあげられることは、せめてほかの子どもと同じように産んであげること、それぐらいしかありませんでした。
 とてもハンサムな男の子でした〉

 だからこそ、再び子を授かり、無事出産できた喜びは大きかった。しかし、そうして生まれた長女は、乳児6カ月診断で脳に異常が見つかる。検査の結果、発見されたのは〈脳梗塞の痕〉。医師の話は「左の運動機能に麻痺が出るでしょう、どこにどう出るかはわからない」というものだった。

 ここから親子のリハビリの生活がはじまる。〈日常生活では右手だけで生活できるように小さいころから練習〉し、〈幼稚園を出たあとは、お兄ちゃんと同じ私立の小学校に通い始め〉ることができた。ただ、それでも困難はつづく。

〈娘は、みんなと同じことができない自分がすごく悔しいようで、もともと持っていた負けん気の強さが焦りみたいなものに変わったのか、たびたび学校で過呼吸を起こすようになりました〉

 ひどくなる一方の過呼吸。しかし学校の保健室では医療的な処置はできない。長女は円形脱毛症にもなってしまった。このままではいけない……そう考えて転校先を探すが、公立小学校では「健常な子どもと一緒にいることがストレスだとするならば、こちらの学校に来ても同じことを繰り返すのではないですか?」と言われ、特別支援学校でも「ご希望の学年相応の学力の定着は、お約束できません」と言われてしまう。中学で普通校に戻ることや、高校・大学進学を考えるならば、結局“家で家庭教師をつけて勉強する”しか方法がない、というのだ。

 こうした学校側の説明に、菊池は「みっともないほど泣き崩れました」と述べる。もちろん、菊池には経済的に家庭教師をつけることは難しい話ではない。 〈でも、平等に開かれた義務教育の期間に理不尽な思いをする子どもたちがいると知ったからには、うちの娘だけがよければいいと納得するのは、どうしても許せませんでした〉と言うのだ。

〈家庭教師が必要ということは、それぞれの家庭の状況によっては、お金が出せなくてあきらめるとか、そういうことになります。
 障がいのある子どもたちも、将来に大きな夢や希望は抱くべきです。
 家庭教師の費用が出せるか出せないか、生まれた家の資産や保護者の所得で、教育が受けられるかどうか、そして子どもたちの人生が変わるというのです〉

 結局、長女は国立大附属の特別支援学校に編入できるクラスを見つけ、そこで熱心なサポートを受けることができた。しかし、菊池は“ウチはうまくいって良かった”では終わらなかった。ハンディキャップのある子もない子も同じように夢がもてるような教育を──。その意識は“もっと勉強したい”という思いにかたちを変えていった。そうして菊池は、法政大学大学院・政策創造研究科に入学するのだ。

 子どもの送り迎え、仕事、大学院。そのなかで菊池が研究テーマにしたのは、「特別支援教育を受けている障がい児童と、普通教育を受けている健常な児童、それぞれの保護者が、教育に何を期待しているのかという検証」「双方が同じクラスで学ぶ混合教育が、将来のキャリアに及ぼす影響を、保護者はどう考えているかについての意識調査」だった。

 こうした実際の経験と、そこで抱いた問題意識こそが、現在の「1億総活躍国民会議」における発言につながっているのだ。

 本書を通して菊池が伝えたいこと。それはハンディキャップをもった子を育てる親たちへのエールという側面もあるかもしれないが、それだけに留まらず、“みんなが生きやすい世の中にするためには、ひとりひとりが考えることが大切”というメッセージもあるはずだ。

 しかも、菊池は芸能人であること、すなわち社会に広く問題を伝えることができるという自覚ももっている。そういう意味では、芸能人だからこそ障がいの話を隠してはいけない、という思いもあるのではないだろうか。西川のように、子どもの障がいを利用していると言われることは百も承知。でも、ハンディキャップがあることが当然のようにマイナス要素として語られる社会のあり方を変えたい……菊池はそこまで考えて、今回、告白本を出版したようにも思えるのだ。

「1億総活躍国民会議」もそうだが、偏狭な芸能界に風穴を空けるためにも、菊池の奮闘を応援したい。そしてこの本は、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思える一冊だ。
(大方 草)

最終更新:2015.12.21 07:53

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