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「#関西民放5局の偏向報道に抗議します」は当然…吉村洋文知事の異常なテレビ出演! 5月はなんと30本、“実は仕事してない”疑惑
吉村洋文公式サイトより
昨日7日、本サイトでは稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人のインターネット番組『7.2 #新しい別の窓』(AbemaTV)に大阪府の吉村洋文知事がリモート出演に対し、SMAPファンが鋭い抗議の声をあげたことを紹介したが、じつは同時に、Twitter上ではこんなハッシュタグがトレンド入りしていた。
「#関西民放5局の偏向報道に抗議します」
このハッシュタグが一体、関西民放5局の何に抗議しているのか。それは、在京テレビ局が吉村知事や橋下徹氏を連日のように出演させ、さらにワイドショーや情報バラエティで吉本芸人らが無批判に吉村知事を持ち上げつづけるという“維新礼賛”報道に対する抗議だ。
〈在阪TVは知事の言うこと(思いつきも含め)を垂れ流し、それを局アナや吉本芸人が褒め称えるだけでその後の検証をしません。カジノについてもあたかも大阪に決まっているかのような報道。異常だと思います。〉
〈最近の関西の情報番組はぜったいにおかしいです。なぜそこまで維新を持ち上げるのですか?この調子だと、都構想の説明もメリットしか報道しなさそうで怖いです。〉
〈「私人に戻った」とはいえ、何かといえば橋下徹氏がご意見番出演するのも、おかしな話だと思います。中立を装いつつ、維新をアシストするコメントを常にしています。その上に吉本芸人が維新提灯持ち発言をする番組ばかり。もういいかげんにしていただけませんか。〉
〈関西2府4県あるにも関わらず、コロナに関する報道はほぼ大阪のみ、話すのは維新関係者。キャスター、ゲストの誰もが疑問も出さず称賛翼賛。報道とは、なんですか?〉
たしかに、全国ネットの番組でもしょっちゅう吉村知事や橋下氏がリモート出演しているが、そうした維新関係者が出演せずとも、ニュース番組からワイドショーまで、吉村知事の話題は大きく取り上げられつづけている。だが、在阪メディアはそれどころではない「異常」な状態だと視聴者が声をあげた。そして、この「#関西民放5局の偏向報道に抗議します」というハッシュタグをつけた投稿は、本日午後の時点で10万を超えたのだ。
関西のテレビがどんな異常な状態になるのか。それは、大阪府HPが公開している「知事の日程」を見ても一目瞭然だ。新型コロナに絡んで、吉村知事が実務そっちのけでテレビに出演しているのか、「知事の日程」からあぶり出していこう。
まず、吉村知事が新型コロナ問題で「公務」としてテレビに出演しはじめたのは、3月のこと。同月5日に大阪市内のライブハウスでクラスターが連鎖発生した可能性があると報じられたが、7日放送の読売テレビ『ウェークアップ!ぷらす』では「クラスター“連鎖”防げるか 吉村大阪府知事ナマ直撃」と題し、吉村知事が生出演。その後も12日に『情報ライブ ミヤネ屋』、14日に『あさパラ!』と連続して読売テレビのワイドショー、情報バラエティ番組に出て、17日には『報道1930』(BS-TBS)に出演した。
緊急事態宣言で始まった吉村知事の怒涛のテレビ出演! 4月1日〜30日で23本
だが、メディアを巻き込んだ「新型コロナと戦う知事」という印象付けが本格化したのは、春分の日からの3連休中、大阪府と兵庫県間の往来自粛の方針を打ち出した同月19日あたりからだろう。この日、吉村知事は『ミヤネ屋』に出演したあと同じ読売テレビのローカルニュース番組『かんさい情報ネットten』に出演、ここで往来自粛の方針を示唆し、その後に緊急会見を開いて正式に大阪府・兵庫県間の往来自粛の呼びかけをおこなった。21日午前にも『ウェークアップ!ぷらす』に出演し、専門家に示されたメモをドヤ顔で披露していた。
当時、本サイトでも批判したように、府民に外出自粛を呼びかけるならまだしも、兵庫県とだけ往来を自粛しても何の意味もない。結局、維新と因縁の関係にある兵庫県の井戸敏三知事をスケープゴートにした政治的パフォーマンスにすぎなかったわけだが、なぜかそうした当然の批判や検証がなされず、吉村知事はテレビに引っ張りだこに。東京五輪への影響ばかり考えてか後手後手となっていた政府や東京都の対応と比較するかたちで「リーダーシップを発揮する吉村知事」というイメージがメディアを通じてどんどん醸成されていったのだ。
そして、4月7日に緊急事態宣言が発出されると、さらに吉村知事の怒涛のテレビ出演がはじまる。この夜、多くの局がニュース番組を拡大して特番を組んだが、吉村知事は『JNN緊急報道特番』(TBS)を皮切りに『news zero』(日本テレビ)、『報道ステーション』(テレビ朝日)をハシゴ。さらに10日も読売テレビの『ミヤネ屋』『かんさい情報ネットten』、NHKの『かんさい熱視線』と立てつづけに出演した。
翌日からはさらに拍車がかかる。11日以降の吉村知事のテレビ出演状況がどんなだったか。「知事の日程」から抜き出していくとこうなる。
4月11日『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)
15日『報道ランナー』(関西テレビ)
16日『ミント!』(毎日放送)
17日『キャスト』(朝日放送)
19日『Mr.サンデー』(フジテレビ)
20日『やさしいニュース』(テレビ大阪)
21日『ちちんぷいぷい&ミント』(毎日放送)
22日『かんさい情報ネットten』(読売テレビ)
24日『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)
25日『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)
28日『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)
30日『ちちんぷいぷい&ミント』(毎日放送)
『キャスト』(朝日放送)
なんと、吉村知事のテレビ出演回数は、3月1日〜31日に8本、4月1日〜30日のあいだでは23本にものぼった。
5月はほとんど毎日、合計30本ものテレビに出続けた吉村知事
ほとんど毎日、どこかのテレビ局の番組に出演しつづけた吉村知事。これが「大阪モデル」を発表した5月にはさらに増え、番組のハシゴは当たり前のようになってゆく。
5月1日『報道ランナー』(関西テレビ)
『かんさい情報ネットten』(読売テレビ)
2日『あさパラ!』(読売テレビ)
4日『報道ステーション』(テレビ朝日)
5日『情報プレゼンター とくダネ!』(フジテレビ)
6日『かんさい情報ネットten』(読売テレビ)
『ちちんぷいぷい&ミント』(毎日放送)
7日『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)
『やさしいニュース』(テレビ大阪)
『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ)
8日 読売テレビ番組収録(10日放送『そこまで言って委員会NP』と思われる)
『キャスト』(朝日放送)
『かんさい熱視線』(NHK)
9日『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS)
12日『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)
13日 朝日放送番組収録
16日『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)
18日『ひるおび!』(TBS)
『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)
『かんさい情報ネットten』(読売テレビ)
19日『報道ランナー』(関西テレビ)
20日『ちちんぷいぷい&ミント』(毎日放送)
21日『キャスト』(朝日放送)
『報道ステーション』(テレビ朝日)
22日『かんさい情報ネットten』(読売テレビ)
『かんさい熱視線』(NHK)
28日『報道ランナー』(関西テレビ)
29日『ちちんぷいぷい&ミント』(毎日放送)
30日『ウェークアップ!ぷらす』(読売テレビ)
『あさパラ!』(読売テレビ)
31日『生!池上彰×山里亮太』(テレビ朝日)
3〜5月の土日は、テレビ出演以外ほとんど「出席行事なし」だった吉村知事の公務日程
ご覧のとおり、5月の出演本数は30本(13日の朝日放送番組収録を除いた)。テレビ東京以外は民放キー局と在阪民放5局を制覇し、民放のみならずNHK大阪放送局の番組も定期的に出演……。言っておくが、どんな人気タレントでもほぼ連日のこのようなテレビ露出はありえないものだ。
そして問題なのは、吉村氏はタレントではなく「大阪府知事」であるということだ。これらのテレビ出演は「公務」だというが、司会のハイヒールを筆頭に多数の吉本芸人が出演する『あさパラ!』や、ネトウヨ番組『そこまで言って委員会NP』、坂上忍の冠番組『直撃!シンソウ坂上』はいずれもバラエティ番組だ。実際、『そこまで言って委員会』では、司会の辛坊治郎が「総理大臣目指している?」「西村(康稔・コロナ担当相)さんは嫌い?」などといった新型コロナ対策とは関係ない質問を投げかけ、それに吉村知事も嬉々として回答。2025年の大阪万博のジャンパー姿でテレビ出演していることについて「スーツが嫌いなんです」などとどうでもいいことを語るなど、知事ではなくタレントのようだった。
その上、ゴールデンウィーク中とはいえ緊急事態宣言下だった5月4日や6日にいたっては、公務日程にあるのはテレビの出演情報だけ。「庁内執務」「府議会本会議」「打ち合わせ」「会見」といった日程は一切ない。付け加えると、新型コロナでテレビに出演しつづけるようになった3〜5月の3カ月間、土曜は4月11日と5月2日を除いてテレビの出演情報以外は「出席行事なし」と記載されているだけ。日曜は4月19日に『Mr.サンデー』、5月31日に『生!池上彰×山里亮太』に出演した以外はすべて「出席行事なし」となっている。
「吉村寝ろ」などというハッシュタグが生まれ、吉村知事の体調を心配する声がネット上であがっていることをワイドショーやスポーツ紙などがこぞって取り上げたが、何のことはない。しっかり休んでいるのである。
そもそも、「吉村寝ろ」などという寝言のようなハッシュタグが生まれたのも、たんに吉村知事がテレビに出演しまくっていたからであって、実際には寝る間も惜しんで実務にあたるどころか、積極的にテレビに露出することを選んでいたのだ。どうしてこれが「新型コロナと戦う知事」と言えるのだろう。
しかも、指摘しておかなくてはならないのは、大阪府HPに掲載されているこの「知事の日程」から外されている吉村知事のメディア出演があるということだ。公務日程には書かれていないが、吉村知事は4月7日と6月2日、あのネトウヨ文化人の吹き溜まりである『真相深入り!虎ノ門ニュース』に出演しているのだ。
『虎ノ門ニュース』は、BPOが「重大な放送倫理違反があった」「人種差別を扇動するもの」「名誉を毀損する内容」と断じた沖縄ヘイトデマを放送した『ニュース女子』のDHCテレビが制作し、差別扇動が繰り返されているネット番組だ。吉村知事は5月20日の会見でテレビに多数出演する理由について「緊急事態時に府がどういう考えで、どういうことを進めているか、情報を公開することが重要。批判もあるが、情報を出さないことより健全なこと」などと語ったが、このようなネトウヨしか観ていないようなネット番組に出演することは、知事の行動としてどうなのか。
放送倫理違反のネトウヨ番組『虎ノ門ニュース』に出演も、公務日程から外す狡猾ぶり
吉村知事も「公務」としてこのネトウヨ番組に出演するのはさすがにまずいと理解しており、だからこそ公務日程から外しているのだろう。実際、6月2日放送回には吉村知事自身が維新の会の本部から出演していると語り、“普段は公務としてテレビに出ているが、『虎ノ門ニュース』では政治的な話になるので政務として出ている”とわざわざ弁明。ちなみに、この2日に同番組に出演していた百田尚樹氏や有本香氏は番組終了後、吉村知事も〈応援してます、なう〉と投稿した愛知県の大村秀章知事のリコールを呼びかける会見をおこなっている。
新型コロナ対策に追われているはずの身で、大村知事リコールを煽るネトウヨ文化人の番組にわざわざ出演する……。本サイトでは愛知県と大阪府の新型コロナ対応を比較、大阪府は愛知県よりはるかに感染者数を抑え込めておらず支援体制も乏しいことなどを指摘したが(詳しくは過去記事参照→https://lite-ra.com/2020/06/post-5448.html)、この間、吉村知事が力を入れてきたことといえば、それはテレビに積極的に出演しつづけることで“やってる感”を演出することだったのは、公務日程からもあきらかだ。
だが、問題があるのは吉村知事だけではない。首長による新型コロナ対応を客観的に検証すべきメディアがその責任を放棄し、とくにテレビは「ウケがいい」という理由で吉村知事を出演させ、無批判に持ち上げつづけていることだ。とりわけ在阪のテレビ局は「吉村知事の奪い合い」のような様相であり、視聴者が「異常」だと声をあげるのも当然の状況に陥っている。
メディアを手懐けてテレビに露出しまくり大衆を煽るという政治手法は橋下徹氏が実践してきたものだが、この問題点をさんざん批判されてきたというのに、その反省もなく、同じ過ちを繰り返す在阪メディア。「#関西民放5局の偏向報道に抗議します」という声がここまで大きくあがったことを、メディアはしっかり直視するべきだ。
(編集部)
最終更新:2020.06.09 08:15
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