社会問題に関する話題……本と雑誌のニュースサイト/リテラ
米軍基地反対派リスト作成の辺野古警備会社に公安出身の元警視総監が天下りしていた! 個人情報も公安提供か
監視を依頼していた沖縄防衛局(公式HPより)
安倍政権が沖縄県民の民意を無視して強引に押し進めている辺野古新基地建設工事をめぐり、衝撃的な事実が判明した。2015年に防衛省沖縄防衛局が、辺野古の海上警備を委託していた警備会社に対し、基地反対派のリストを作成して監視するよう依頼していたとする内部文書を毎日新聞が入手したというのだ。
問題となっている警備会社は、渋谷区に本社を置くライジングサンセキュリティーサービス(以下、ライジングサン社)と同社の100%子会社であるマリンセキュリティー。ライジングサン社といえば、海上警備にあたった人数を水増しして防衛省に約7億4000万円を過大請求していたことが発覚した会社。そして、同社が海上で抗議する市民の顔写真や名前を掲載したリストを作成、沖縄防衛局に活動記録を報告しているという問題は、2016年5月14日に沖縄タイムスがスクープ。国会でも糸数慶子参院議員が質問主意書で問いただしていた。
しかし、安倍内閣は〈沖縄防衛局は、御指摘の「本件リスト」を保有しておらず、また、同リストの作成や提供に係るお尋ねの事実はなく、同リストの内容についてお答えすることは困難〉という答弁書を閣議決定。また、ライジングサン社も「SNSなどで個人を特定し、独自に作成した。防衛局や警察、海上保安庁の関与はない」と説明していた。
だが、28日付けの毎日新聞が入手した、ライジングサン社の現場責任者だった幹部社員の名前で同社代表取締役に宛てられた複数の「報告書」には、沖縄防衛局からリスト作成の依頼があったことが記述されていたというのだ。
〈16年5月15日付の文書には15年2月ごろ、当時の沖縄防衛局調達部次長(文書では実名)から「『反対運動を継続的に行っている人及び船舶の傾向を把握し、より安全な作業を実施してゆくために、反対派リストのようなものを作り監視してほしい』旨の依頼があり作成した」と記載されている〉
さらに、毎日新聞によれば、基地に反対する市民のリストを作成していたことを沖縄タイムスが報じた当日、ライジングサン社の現場責任者らがさっそく沖縄防衛局を訪れてリスト作成の経緯を説明。その際、現場責任者は「次長の指示で作成した」と説明していたと関係者が明かしている。
つまり、政府が否定した、リストの作成に沖縄防衛局の指示があったことが、今回、文書と証言によって裏付けられたのである。
だが、このリスト問題には、もうひとつ重大な疑惑がある。それは沖縄防衛局がライジングサン社にリストの作成を指示しただけではなく、基地に反対する市民の個人情報を提供していたのではないか、という問題だ。
というのも、リストのほかにも〈一部の特定の市民らについては顔写真付きで経歴などを記載した資料〉や〈ある名護市内の女性については年齢や職業のほか、所属政党名、出身校など〉が書かれた資料があったからだ(毎日新聞28日付)。しかも、沖縄タイムスが2016年に報じた際には、複数の警備員が〈社内の研修では市民の一人について「親戚に議員がいた」などと身辺の情報を解説。また、インターネット上に出てこない複数の市民も顔と名前が特定されていた〉と証言している。
ここまでの個人情報を、警備会社だけで集められるとはとても思えない。
天下りの元警視総監は原子力規制庁長官時代も反対派の市民を監視
まず、考えられるのは、官邸が公安警察を動かして資料提供をさせた可能性だ。内閣官房副長官の杉田和博氏は警察庁警備局長を務めた元エリート警察官僚で、警備・公安警察を自由に動かせるチャンネルをもっている。たとえば、2015年11月に辺野古警備に東京・警視庁の機動隊約150名を投入して基地に反対する市民を強制排除した際も、沖縄問題を担当する菅義偉官房長官が杉田氏を動かし、杉田氏が子飼いの高橋清孝警視総監(当時)に機動隊投入を直接依頼したと言われていた。今回のリスト問題も、菅官房長官─杉田内閣官房副長官ラインの関与が十分考えられるのである。
さらに、問題のライジングサン社にも、直接、公安警察との強力なパイプがあった。
もともと警備会社は警察OBの天下り先として有名だが、じつはライジングサン社も2015年11月、ある大物警察官僚を顧問として迎え入れている。それは、第88代警視総監を務めた池田克彦氏だ。
しかも、池田氏は警察庁警備局公安第二課長や警察庁警備局長を歴任するなど“公安畑”を歩んできた警察官僚。幹部にのぼりつめてからも“治安維持”を名目にして、市民運動の集会やデモなどを監視することに血道を上げてきた。
たとえば、警視総監を務めていた2010年10月には、警視庁公安部外事3課など警察が作成した国際テロ関係の内部資料がネット上に流出する事件があったが、その資料には捜査協力者や日本に住むイスラム教徒の個人情報が含まれており、公安警察がイスラム教徒だというだけでテロリスト扱いしていた事実が露呈した。
池田氏がそうした“一般市民の監視”を担ってきたことを象徴する出来事も起こっている。池田氏は警視総監退任後の2012年9月に原子力規制庁の初代長官に就任しているのだが、それ以前から経産省の意見聴取会などで原子力安全・保安院が傍聴を希望する市民のリストを警察に提供した疑いが浮上するなど、市民の監視が問題になっていた。池田氏を原子力規制庁の長官に抜擢したのも、こうした市民の監視を強める目的だったのはあきらかで、現に、池田氏が就任して1カ月も経たないうちに、原子力規制委員会による定例会の傍聴席に規制庁が私服警察官を入れていたことが発覚している。
水増し請求しても契約を切られなかった警備会社にちらつく政治家の影
基地に反対する市民を“監視”するためのリストを作成していたライジングサン社に、警視総監にまで登り詰めた“公安警察のエース”が顧問として天下りしていた──。ようするに、こうした会社が警察庁公安部や沖縄県警警備部、防衛省と“連携”してリストを作成していた可能性が高いのだ。
そもそも、ライジングサン社をめぐっては、前述したように、海上警備にあたった人数を水増しして防衛省に約7億4000万円を過大請求していたという問題も引き起こしている。これは2016年1月に従業員が沖縄防衛局に内部通報したことによって判明したが、この過大請求の事実を把握したあとも沖縄防衛局はライジングサン社との契約を解除せず、2017年12月まで契約をつづけたのだ。不正な請求をした会社と契約をつづけるという異常な事態には政治家の介入があったのではないかと指摘する声も出ていたが、官邸の意向のもと、警察や防衛省と結びついて不当に市民の個人情報を“共有”していたとなれば、それも当然だろう。
ともかく、国が基地に反対する一般市民を“監視対象”にしてリスト化するなど、民主主義国家であってはならない問題だ。今後、公安警察や防衛省がどこまで関与していたのか、追及をつづけたい。
(編集部)
最終更新:2019.01.30 12:14
関連記事
新着 | 芸能・エンタメ | スキャンダル | ビジネス | 社会 | カルチャー | くらし |
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
『報ステ』大越の“万博礼賛”はテレ朝上層部の維新忖度か 『モーニングショー』でも吉村の“出禁”発言以降、万博批判が消える
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
萩生田光一 裏金2728万円でも“事実上お咎めなし”で高笑い! 岸田と森に取り入って安倍派も“独り占め”の悪夢のシナリオ
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
大阪万博の工事現場でガス爆発 会場地下に溜まるメタンガスへの懸念が現実に! 危険な有害物質PCB汚泥も覆うだけ
小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件! 維新と一体の大阪万博パビリオン総合Pも旗振り役
安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感! 実際は軽い処分を重く見せるために岸田首相周辺が印象操作
政倫審でも「法令遵守体制」を自慢して顰蹙! 世耕弘成の法令遵守とはかけ離れた「政治と金」疑惑の数々
世界的建築家の「カジノありきの万博」「あり得ない」の批判に、維新・大阪市長が「万博とカジノ関連ない」と失笑の大ウソ反論
『仰天ニュース』“赤木ファイル”特集で安倍政権・公文書改ざん事件の卑劣があらためて注目! 中居正広も「あってはならない」と
ジャニーズ会見で井ノ原の「ルール守って」発言賞賛と記者批判はありえない! 性加害企業が一方的に作ったルールに従うマスコミの醜悪
ジャニーズ性加害でジュリー社長辞任もテレビ局は検証放棄! 局内での行為が疑われるテレ朝とNHKの無責任な姿勢
ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし
坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑
れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性! 維新・松井だけでなく自民党も批判封じ込めで訴訟乱発
自公維新が提出「国民投票法改正案」にネットで批判の声広がる! 小泉今日子も〈#国民投票法改正案に反対します〉と投稿
三浦瑠麗が「医者はワイドショー見てコロナ怖がりすぎ」と医療従事者を嘲笑! 専門家から反論されると半笑いで「私、医者じゃないんで」
Netflix版『新聞記者』の踏み込みがすごい! 綾野剛が森友問題キーマン官僚に、安倍御用ジャーナリストはあの人が…
NHK捏造・虚偽放送問題で河瀬直美監督のコメントが無責任すぎる!ドラマの デモ描写に異議唱えた『相棒』脚本家と大違い
萩生田光一が裏金問題で提出した「領収書の嘘」が発覚! 安倍元首相が「官房機密費100 万円を参院候補者に手渡し」報道も
吉村知事はガス爆発でも開き直り「他区域ではガスが出ない」と大嘘! 地下鉄工事でメタンガス確認、大阪市も発生可能性認めたのに
吉村知事が「万博出禁」と攻撃した玉川徹のコメントはどれも当たり前の指摘ばかり! 吉村の言論弾圧体質はプーチン並み
大阪万博の工事現場でガス爆発 会場地下に溜まるメタンガスへの懸念が現実に! 危険な有害物質PCB汚泥も覆うだけ
小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件! 維新と一体の大阪万博パビリオン総合Pも旗振り役
2700万円裏金でも萩生田に反省なし! 月刊誌で被害者気取り発言、「裏金はメディアとの会食に使った」とマスコミを恫喝
森喜朗、安倍晋三、菅義偉は東京五輪不正にどう関わっていたのか? “キーマン”高橋治之が保釈後初インタビューで証言
“インチキ派閥解消”の陰で自民党と岸田政権が温存する裏金づくりのシステム! 企業団体の献金、パー券購入も不透明なまま
検察の安倍派幹部“立件見送り”の不可解! 西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長、森喜朗元首相にくすぶる疑惑
松本人志と並んで万博PRの吉村洋文知事 能登半島地震で救助や支援を自分の指揮のように演出して大顰蹙
維新ゴリ押し 万博&カジノにかかる金はインフラ整備を含めると8000億円以上だった! 大半が国と大阪市の負担、巨額の税金も投入
防衛費増額の財源で「法人税」を削除し「国民全体の負担」だけにした政府有識者会議は読売社長、日経元会長、朝日元主筆がメンバー
菅首相の追加経済対策の内訳に唖然! 医療支援や感染対策おざなりでGoToに追加1兆円以上、マイナンバー普及に1300億円
菅首相のコロナ経済支援打ち切りの狙いは中小企業の淘汰! ブレーンの「中小は消えてもらうしかない」発言を現実化
菅首相の追加経済対策が“自助”丸出し! コロナ感染対策は10分の1以下、大半が新自由主義経済政策に…坂上忍も「バランスおかしい」
悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、1カ月で半分を浪費! 事務局事業も電通がトンネル法人通じて140億円
三浦瑠麗のアマプラCMは削除されたが…amazonもうひとつの気になるCM! 物流センター潜入取材ルポが暴いた実態とは大違い
安倍首相“健康不安”説に乗じて側近と応援団が「147日休んでない」「首相は働きすぎ」…ならば「147日」の中身を検証、これが働きすぎか
正気か? 安倍首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討! 世界各国は減税に舵を切っているのに
東京女子医大がボーナスゼロで400人の看護師が退職希望! コロナで病院経営悪化も安倍政権は対策打たず加藤厚労相は “融資でしのげ”
『報ステ』大越の“万博礼賛”はテレ朝上層部の維新忖度か 『モーニングショー』でも吉村の“出禁”発言以降、万博批判が消える
萩生田光一 裏金2728万円でも“事実上お咎めなし”で高笑い! 岸田と森に取り入って安倍派も“独り占め”の悪夢のシナリオ
安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感! 実際は軽い処分を重く見せるために岸田首相周辺が印象操作
政倫審でも「法令遵守体制」を自慢して顰蹙! 世耕弘成の法令遵守とはかけ離れた「政治と金」疑惑の数々
世界的建築家の「カジノありきの万博」「あり得ない」の批判に、維新・大阪市長が「万博とカジノ関連ない」と失笑の大ウソ反論
政倫審 安倍派4人の嘘と矛盾を徹底検証! 萩生田も含め証人喚問は絶対必要だが、マスコミ報道は大谷の結婚一色
裏金に反省なし、岸田首相と自民党が死守する「企業団体献金」は事実上の賄賂だ! トヨタ、電通、経団連の大口献金と優遇政策
検察が動くまで裏金疑惑を1年放置したマスコミの弱腰 報道されなかった自民党の“政治と金”疑惑を総まくり
橋下徹の「政治と金」めぐる“維新アゲ”発言の「デマ」に抗議殺到、『めざまし8』が謝罪! 語られなかった維新の金まみれ実態
安倍首相が「官房機密費あるから、いくらでも出す」…馳浩の五輪招致買収工作発言で改めて注目される「官房機密費」の不正な使われ方
瀬戸内寂聴が生前、語っていた護憲と反戦…「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥」と語り、ネトウヨから攻撃も
「BTSグラミー賞逃す」報道に「韓国人のニュースいらない」「日本人の受賞を報じろ」と炎上攻撃が! 日本スゴイの精神的鎖国
ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』を読めば、安倍首相が病気で辞任ししたのでなく国民が声をあげ追い詰めたことがよくわかる
百田尚樹が「安倍総理にお疲れ様とメールしても返信なし、知人には返信があったのに」とすねると、2日後に「安倍総理から電話きた」
村上春樹が長編小説『騎士団長殺し』とエッセイ『猫を棄てる』に込めた歴史修正主義との対決姿勢! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
村上春樹がエッセイ『猫を棄てる』を書いたのは歴史修正主義と対決するためだった! 父親の戦中の凄惨な中国人虐殺の記憶を…
安倍首相に利用された星野源がエッセイに書いていた“音楽が政治に利用される危険性” 「X JAPANを使った小泉純一郎のように」
“宇予くん”で改憲煽動のJCと手を組んだTwitter Japanはやっぱり右が大好きだった! 代表は自民党で講演、役員はケントに“いいね”
ウィーン芸術展公認取り消しを会田誠、Chim↑Pomらが批判! あいトリ以降相次ぐ“検閲”はネトウヨ・極右政治家の共犯だ
「ノーベル賞は日本人ではありませんでした」報道で露呈した日本の“精神的鎖国” 文化も科学もスポーツも「日本スゴイ」に回収
幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題
話題の本『夫のちんぽが入らない』のタイトルに込められた深い意味…しかし一方では広告掲載拒否の動きが
福島の子ども甲状腺がん検診「縮小」にノーベル賞の益川教授らが怒りの反論! 一方、縮小派のバックには日本財団
介護殺人に追い込まれた家族の壮絶な告白! 施設に預ける費用もなく介護疲れの果てにタオルで最愛の人の首を…
宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う
今もやまぬ人工透析自己責任論の嘘を改めて指摘! 糖尿病の原因は体質遺伝、そして貧困と労働環境の悪化だった
『最貧困女子』著者が脳機能障害に! 自分が障害をもってわかった生活保護の手続もできない貧困女性の苦しみ
雨宮塔子が「子ども捨てた」バッシングに反論! 日本の異常な母性神話とフランスの自立した親子関係の差が
『NEWS23』に抜擢された雨宮塔子に「離婚した元夫に子供押しつけ」と理不尽バッシング! なぜ母親だけが責任を問われるのか
小島慶子が専業主夫の夫に「あなたは仕事してないから」と口にした過去を懺悔!“男は仕事すべき”価値観の呪縛の強さ
人気記事ランキング
カテゴリ別ランキング
社会
ビジネス
人気連載
アベを倒したい!
ブラ弁は見た!
ニッポン抑圧と腐敗の現場
メディア定点観測
ネット右翼の15年
左巻き書店の「いまこそ左翼入門」
政治からテレビを守れ!
「売れてる本」の取扱説明書
話題のキーワード