リベンジポルノにつきまとう「なぜそんな写真を撮らせたのか」問題を考える! 被害者への無理解が解決を困難に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
revenge_151206.jpg
『リベンジポルノ 性を拡散される若者たち』(弘文堂)

 10月には、元交際相手の裸画像をツイッターに投稿したとして札幌市の男が逮捕されるなど、2014年11月に「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)」が施行されて以来、逮捕者が発生する事例が後を絶たない。これだけ頻繁に報道されているのにも関わらず、リベンジポルノは未だに社会問題であり続けているのが現状だ。

 こうしたリベンジポルノ問題について語られる時、「なぜ、そんな写真を撮らせたんだ!」と、まるで被害者を責めるような言葉がよく語られる。しかし、そのような突き放した考え方ではこの問題は解決できない。若者たちの文化や考えに対する理解なくしては問題解決への道筋は見つからないと、メディアジャーナリストの渡辺真由子氏は著書『リベンジポルノ 性を拡散される若者たち』(弘文堂)で主張している。

 若者たちはなぜ性的な画像を残すのか? そのことについて考えるにあたり、まず日常すべてを写真に残すことが当たり前となっている若者たちの感覚を理解する必要がある。渡辺氏の取材を受けた、家庭や学校に居場所を失った少女たちの自立支援を行う一般社団法人「Colabo」代表・仁藤夢乃氏はこう語る。

〈恋愛関係で裸の画像を撮ることは、普通に身近にありますよ〉
〈私の出会う中高生の中では、当たり前のようにやっている子が多いです。スマホがあるから何でも写真に撮るんですよ〉
〈写真を撮ることが、日常になっているんだと思います。コミュニケーションの一環、みたいな。食べたご飯を撮影してSNSに投稿するのと同じような感覚でしょうね〉

 かつてのように、店に現像に出さなくてはいけないフィルムカメラの時代であればそんなプライベートな空間(特に性的な営み)を写真に残すわけにはいかなかったが、当然ながら現代の若者はそんな時代は知らないし、フィルムカメラを知っている世代は無意識に行う「自制」も彼ら彼女らにはない。

 だから、年長者がリベンジポルノ問題を考える時に抱きがちな「こんな危険な撮影に応じるなんて……。彼氏に強要された『性虐待』に違いない」という感覚もまったく的外れなものだと言う。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

リベンジポルノ―性を拡散される若者たち

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

リベンジポルノにつきまとう「なぜそんな写真を撮らせたのか」問題を考える! 被害者への無理解が解決を困難にのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。井川健二写真の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄