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『朝生』初出演の百田尚樹があらゆるテーマで無知さらけ出し大恥! 改憲派学者からも「本当に右なのか」と
テレビ朝日『朝まで生テレビ!』5月26日深夜放送回より
テレビ朝日『朝まで生テレビ!』といえば、今年で30年を迎えた田原総一朗司会の生討論番組。かつては大島渚や野坂昭如など骨太の文化人から、姜尚中や宮台真司らスター学者、政治家や運動家ときには麻原彰晃のような渦中の人物までが登場し、タバコを燻らせ、口角泡を飛ばし合ったものだ。
そんな『朝生』の5月26日深夜放送回に、ついに、あの御仁が初出演を果たした。ご存知、作家の百田尚樹センセイだ。
この日の『朝生』は安倍政権の憲法改正、共謀罪、天皇生前退位特例法、そして加計学園問題が議題。はてさて、数々のファナティックな言動で知られる百田センセイが生放送でどんな“ご活躍”を見せるのか。眠たい目をこすりつつ、チャンネルを合わせてみた。
ところが、蓋を開けてみると完全に肩透かし。百田センセイはキレのある主張のひとつもできず、逆に無知と無教養をさらけ出したあげく、徹底的に論破され、あまつさえ「あなたは本当の右なのか!」と強烈なダメ出しまでされてしまったのである──。
たとえば番組冒頭の皇室議論。百田センセイは、今上天皇が生前退位の特例法などに不満を漏らしていたという5月22日付毎日新聞一面の報道について、「宮内庁否定したでしょ? 公式に否定したんでしょ」などとギャーギャー騒ぎ出したのだが、そこで田原から、「あなたね、8月の天皇の『おことば』見た? 聞いた?」と聞かれると悪びれることもなく、
「聞いてない」
まさかこのオッサン、「おことば」も聞かずに得意げに皇室を語ろうとしていたとは……。愕然とせざるをえないが、さすがにこの発言には小林よしのりも「めちゃくちゃだよそれ」と嘲笑。百田センセイはビキッときたらしく「聞いてないだけやん!」と逆ギレしたが、よしりんは「『おことば』聞かずに語ったってしょうがないじゃないかそんなもの!」と一喝。思わず目が泳ぎ、その情けない表情をカメラにバッチリ抜かれてしまったのであった。
百田、得意のネトウヨ陰謀論を繰り出すも撃沈&自爆の巻
こんな感じで、出だしからつまずいてしまった百田センセイ。続く共謀罪の議論でも空回り。たとえば先日、日本政府に対し強い懸念を示した国連の特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ氏に関し、百田センセイはこんなネトウヨ陰謀論を開陳。
「彼の思想的背景ってどういうものですか」「なぜ日本だけにそれを言うのか」「特別報告者って何者なんですか!?」「実は日本の左翼が国連に働きかけているんですよ! わかりませんけど!」
とまあ、吠えてみたはいいが、田原からは「外務省は去年、『特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため、今後もしっかりと協力していく』という宣誓書を書いている」と事実を突きつけられ、リベラル系の出演者からは相手にされず、お仲間の八木秀次やケント・ギルバートからもほとんど援護してもらえないという痛々しさ全開の有様であった。
当たり前だろう。しかし、このオッサンの学習能力のなさはすごい。後半の加計学園の議論でも同じ轍を踏む。
討論は、政府はしっかりと国民に経緯を説明すべき、というごく当然の流れに。そこで百田センセイはここぞとばかり、例の前川喜平・前文科事務次官の「出会い系バー通い」という官邸が読売新聞を使って流したネガティブキャンペーンに話をスライドさせ、反転攻勢をしかけるのだが……。
「今回、前川さんの名前が出る前に、私は実は前川さんの名前を聞いていたんだですよ! えー、前川さんという方が今の政権に対して相当個人的な恨みがあるっちゅう話を聞いてたんですよ!」「彼の風俗通い、これ、かなり政権に注意されてたんですよ! 読売新聞に出る前に私は聞いてました!」
百田センセイ、見事な墓穴。民進党の長妻昭から「どこからの情報ですか。官邸筋じゃないですか?」とズバリ突っ込まれ狼狽し、「あ、まあ、ある議員ですけどね」と返すのがやっとだ。さらに佐高信から「百田さんは(加計学園に)決まったのはおかしいと思わないの?」と率直に問われると、「いま加計学園は置いておきましょうか」とのたまい騒然。もはや錯乱しているとしか思えない。
しかも百田センセイ、ミスを取り返したかったのか「あの(前川氏の)メモというのはいったいなんやと、いろいろ聞いたんですよ。えー、ほんで公務員がメモをすると、もう公文書と言われるんですね、これ」などと解説し始める。
完全にオウンゴールである。そもそも、政府と文科省はいま、調査対象を行政文書に限って行うという離れ業で「確認できなかった」と強弁しているわけで、例の文書を「公文書」と断言されるとヒジョーに困るのだ。もちろん隣に座っていた自民党の平沢勝栄は大慌て。百田の発言を遮り、必死で火消しに回っていた。
安倍政権をアシストするつもりが、逆に矛盾を追及してしまった百田センセイ。番組を見ていた官邸関係者も頭を抱えたことだろう。
百田、「本当の右なのか?」にぐうの音も出ずお茶を飲むの巻
あまりにアホすぎて同情の気持ちすら湧いてくる百田センセイだが、やはりハイライトはこの場面をおいてないだろう。番組中盤、安倍首相がぶち上げた2020年の新憲法施行についての討論になった際、百田センセイはなにを調子に乗ったのか、日米安保についてこんな持論を展開した。
「日本はね、安全保障に関しては本当にうまくタダ乗りしてきました。歴代の総理大臣がみんな憲法改正を言わなかったっていうのは、ずっと長いことジャーナリストであろうが文化人であろうが政治家であろうが、憲法改正なんて口にしたら社会的に葬りされられる時代があったんですよ。これはすごかった!」「30年、40年前は憲法改正をしなくても日本の安全は米軍によって守られてたんですよ!」
まさに「俺はリアリストやで?」と言わんばかりのドヤ顔で述べたわけだが、その百田センセイを怪訝な顔で見ていたのが、法学者の井上達夫・東京大学大学院教授だ。井上は「私は9条削除論」と前置いたうえで、百田をこう問い詰めた。
「百田さんに言っておきたいんだけど、僕は本当に右だったら尊敬するの。小林(よしのり)さんは右だけど、あなたは本当の右なのかな。さっきから不満なのはね、『日米安保は完全に日本がタダ乗りだった』って」
百田が「タダ乗りでしたよ!」と口を挟む。井上は呆れて続ける。
「よくそんなこと言えるね! 日米安保で片務条約って嘘なんですよ。アメリカは世界最大の海外における戦略拠点を日本でずっと維持して、ほとんどタダ。駐留経費75パーセント(も日本がだしてる)。これ、アメリカの方が得ているものが大きいわけです!」
井上は、日米安保条約が日本に多大な負担を強いているという事実を指摘し、それを無視してアメリカの軍事力だけを有り難がる百田の実に幼稚な安保論をバッサリと切り捨てたのだ。井上はさらに百田を追い詰める。
「しかも右だったらさ、かつて鬼畜米英って言った国の米軍基地がこれだけあるってことを恥じなさいよ、少しは! 『お前たちすでにこれだけ甘い汁吸ってんのにこれ以上要求するんだったら、俺たちだって日米地位協定も含めて見直さないといけないよ』って言うのが大人の交渉なんだよ。右がそれをするんだったら私は尊敬する!」
言っておくが、井上はネトウヨが敵視するようなガチガチの護憲派では決してなく、むしろロジカルに護憲派・改憲派双方の欺瞞を糾弾してきた法学者だ。その井上からみて、「愛国ナショナリズム」を標榜して軍隊創設を喧伝しながら、その実、米軍への隷属根性丸出しで、不平等条約である日米安保を盲従し続ける矛盾だらけの“エセ保守”の詭弁に我慢がならなかったのだろう。
しかし、百田センセイはストローでお茶をちゅるちゅるとすすりながら、「アメリカを抜いて当時ソ連に対峙するだけの安全保障に対して、アメリカ軍に払う金じゃすまなかった」などとピーピー言うだけ。もはや反論にすらなっていない。というか、お金云々を言うならなぜ百田は改憲をして軍事増強を訴えるのか。喋れば喋るほど矛盾がでてくる。誰がどう見ても百田センセイの完敗だったのだ。
百田、コテンパンにされたあとツイッターで恨み節連投の巻
結局のところ百田センセイは、『朝生』で終始圧倒され、自分の無知と無学をさらけだし、ましてや“エセ保守”だと喝破されるという大恥をかいてしまったのだった。
普通の人間なら恥ずかしくって外を歩けなくなってもおかしくないが、そこはさすがの百田センセイ。番組終了後、Twitterでこんな逆恨みの連投を始めたのだ。
〈「朝生」は全然面白くなかった。番組始まる前の控え室から、何人かが私に凄まじい敵意を剥き出しにしてくるのは驚いた。初対面から喧嘩ごしで喋ってくるのには参った。
あらためて、私は敵が多いんだなあと思った(^^;;
もう出ない。〉
〈私をつぶす目的があったのかどうかは知りませんが、左側の人たちは私を睨みつけて喋っていることが多かったです。〉
〈もしかしたら、私のギャラは田原氏を除いて、出演者の中で一番高かったのかもしれない(最初の提示の約2倍を要求したから)。
意外に、そういうのが敵意を生んだかな^^;〉
完全に負け犬の遠吠え。被害妄想も大概にしろと言いたい。というか、自分で2倍のギャラを要求しておいて「出演者の中で一番高かったから敵意を生んだ」とか、意味不明にもほどがあるだろう。
ちなみにこのオッサン、放送前にはかなりノリノリだった。百田センセイは22日にネトウヨ向けネット番組『報道特注(右)』に出ているのだが、その時のサブタイトルは「百田尚樹さん!!朝まで生テレビ初出演記念スペシャル」。いかに百田が『朝生』初出演に鼻息を荒くしていたかがわかる。
なお『報道特注(右)』では、築地仲卸「鈴与」を営む生田よしかつが「田原総一朗ってやばくね? 入れ歯フガフガしてる(笑)」とか、維新の足立康史が「まあ(三浦)瑠麗ちゃんはカワイイからいいですよ(笑)」、元次世代の党の和田政宗が「アレ(=三浦瑠麗)も育てていかなきゃいけない(笑)」とか、散々『朝生』と出演者を愚弄し、百田もゲラゲラ笑っていたものだ。
ようするにこういうことだ。『報道特注(右)』がそうであるように、普段、百田センセイは『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)とか『ニュース女子』(TOKYO MX)とか、ネトウヨ丸出しのお仲間が集まる番組で、愚にもつかないネトウヨトークに花を咲かせている。そこでは、どんな陰謀論をタレ流そうが、雑な議論をふりかざそうが、周りのお仲間たちが気持ちよく同調ヨイショしてくれる。
ところが、いざ専門家や左右から百戦錬磨の論客が集う『朝生』に出ると、そんなネトウヨ発言を誰も擁護しないのはもちろん、当たり前のように徹底的に論破されてしまう。悲しいかな、ただ、それだけのことなのだ。
しかし、百田センセイは「もう出ない」なんて言っているが、いやいや、それはもったいない。百田みたいな“エセ保守”がいかにインチキで、ろくな議論のひとつもできないか広く周知させるためにも、今後とも是非『朝生』にご出演いただきたいものである。
(編集部)
最終更新:2017.12.04 03:51
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