「アベ政治を許さない」と揮毫した俳人・金子兜太 生前語った戦争への危機感とデモへの期待「今こそ大事な時」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

金子氏がいまの日本に抱いた危機感「社会全体がじわじわと、自由に物をいう雰囲気が奪われている」

「日本とトラック島の交通が途絶えたんですね。補給がなくなった。そのため、食糧と手軽な武器は現地でつくることになって、まず実験的に手榴弾を作ったんです。私がいた隊の人間が実験をすることになったのですが、触撃と同時にダーンと爆発して、男の右腕が吹っ飛んじゃった。背中にも穴があいて、即死ですな。横で指揮していた少尉の姿も消えていて、ふと横を見たら海のなかに吹っ飛ばされていた。
 私はわずかの距離にいたにもかかわらず、不思議なことに無傷でしたが、「こんなひどいことをする戦争なんて、やるもんじゃない」と本能的に戦争に反対する気持ちが起こった」

 金子氏はこの他にも、サツマイモをポンポン船で運んでいるところをアメリカの戦闘機に見つかって機銃掃射を浴び、すぐ横にいた仲間は撃たれてしまうという体験もしているという。無事に戦争を生き延びることができたのは奇跡のような偶然だったのだ。

 このように戦争で地獄のような光景を見た後、金子氏は1946年にトラック島からの最後の引き揚げ者として復員。その際、〈水脈の果炎天の墓碑を置きて去る〉という句を詠んだという。

 この句は、「トラック島に墓碑を置いて去っていくが、日本に帰ったらこの墓碑のために何かをやりたい」という決意をもって詠まれたものである。前述「本の窓」の対談では、悲しい死を遂げていった仲間たちのことを考えながら、「「この人たちのためにも戦争のない世の中というものを、無事に帰ったら自分は志してみたい、どういうかたちであれ志していきたい」と、そう思っておりました」と語っている。

 だからこそ、安倍政権が性急に進める「戦争ができる国づくり」には危機感を抱かずにはいられなかった。金子氏は多くの人が殺され、そして、極度の飢餓や緊張状態に晒され続けることで人としての倫理観がことごとく破壊されていく戦争の真の恐ろしさを身をもって知っているからだ。

「清流」(清流出版)2016年10月号では「最近の政治の動向を見ると、日本はまた悲惨な事態を招きかねないと危惧しています。「憲法改正」が現実味をもち、「第九条」が変えられる可能性も出てきた。なのに、いまの国民は「危うい」という危機意識が薄いようです」と語って警鐘を鳴らしていた。そのうえで、もうすでに「言論」の分野では70年以上前に辿ったものと同じ道筋を歩みつつあると危機感を募らせている。

「権力が牙を剥くときは本当に怖いものです。昭和六年の満州事変以降、目に見えない形で言論統制や思想統制が進み、気づいたら太平洋戦争にまっしぐら。抜き差しならない状況に陥り、あれよ、あれよという間に敗戦への道を転げ落ちていきました。
 いまの日本も、同じ道をたどるかのように、社会全体がじわじわと、自由に物をいう雰囲気が奪われている。命の重みを軽んじる風潮も広がっていると思えます」(前掲「清流」より)

 金子氏がこのように語るのは、これもまた若い頃に実際その目で見てきたことだからだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルマンガ・アニメビジネス社会カルチャーくらし教養

「アベ政治を許さない」と揮毫した俳人・金子兜太 生前語った戦争への危機感とデモへの期待「今こそ大事な時」のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。編集部金子兜太の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 綾瀬はるかが戦時化の性犯罪をレポート
2 『ゲゲゲの鬼太郎』の戦争描写をネトウヨが攻撃
3 終戦の日の自民党声明から「民主主義、基本的人権」が消えた
4 杉田水脈がLGBT差別にほっかむりで極右集会に
5 文科省が大学に「五輪中は授業やるな」と学徒動員
6 NHKの戦争特集に和田政宗が圧力
7 『報道特集』が報じた日本軍の証拠隠滅の実態
8 黒柳徹子が琉球新報に平和メッセージ
9 安倍昭恵完全復活! 支持者会合に首相と登場
10 創価学会が靖国神社「みたままつり」に提灯奉納!
11 宮崎駿が『永遠の0』を酷評
12 安倍「臨時国会に改憲案」の醜悪な裏
13 宮崎駿も鶴瓶も安倍政権にNO!
14 安室奈美恵の翁長知事追悼にネトウヨが「反日」攻撃!
15 ネトウヨ局アナがテレ朝のお昼の顔に
16 安倍への忖度?山口県警が安倍系建設会社の捜査握り潰し 
17 ディズニーランドでキャストがパワハラ提訴
18 北朝鮮の日本人拘束事件で政府が報道管制
19 『報ステ』チーフPは安倍応援団とお友達か
20 安倍が選挙妨害を依頼した男と密室謀議
1久米宏が電通タブーに踏み込む激烈な五輪批判
2広島原爆の日に安倍首相が卑劣な詐欺行為
3山本太郎と久米宏が安倍政権、原発タブー、杉田水脈を斬る
4翁長知事は最後まで安倍政権のいじめと闘い続けた
5安室奈美恵の翁長知事追悼にネトウヨが「反日」攻撃!
6松尾貴史「日本を壊しているのは安倍さん」
7 終戦の日の自民党声明から「民主主義、基本的人権」が消えた
8ネトウヨ局アナがテレ朝のお昼の顔に
9NHKの戦争特集に和田政宗が圧力
10安倍自民党が佐川宣寿の偽証罪告発潰し
11創価学会が靖国神社「みたままつり」に提灯奉納!
12安倍が杉田水脈問題に「なんで騒いでるの」
13安倍「臨時国会に改憲案」の醜悪な裏
14 安倍昭恵完全復活! 支持者会合に首相と登場
15『報道特集』が報じた日本軍の証拠隠滅の実態
16安倍の態度には長崎の被爆者代表が激怒「毎年一緒」
17 綾瀬はるかが戦時化の性犯罪をレポート
18安倍首相が津川雅彦に特別扱い追悼会見
19北朝鮮の日本人拘束事件で政府が報道管制
20障害者が戦争中の過酷な差別を告白!

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄