山口敬之レイプ疑惑はどうなったのか? 詩織さんに相談されていた記者が証言! 作家の中村文則も不起訴の経緯に鋭い分析

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詩織さんの告発が「売名」「政治目的」というのはありえない

 清水氏も、逮捕状が発布されたにもかかわらず逮捕されなかったことについて、今回のラジオで「まずない。ほとんどないです。ゼロとは言いませんが、よっぽどおかしいんですよ」「警察官はなんとかして逮捕したいわけですから」と強調していたが、確かにこれは異例中の異例のことだった。

 清水氏によれば、山口氏のレイプ事件がすぐにマスコミに報じられなかったのも、詩織さんの告発に信憑性がなかったわけではなく、「逮捕されなかった」ことが大きいという。

「私も結構くどいですから、散々聞いたんですけども、そこ(詩織さんの話は)はまったく変わらない。だから、信頼性はもともと高いなというふうに思っていたんだけれども、すぐにこれが報じられなかったというのは、だいたい『逮捕されました』というのが本来のニュースのスタンダードなスタイルなんですよ。ですが『逮捕されなかった』となると、『ん?』ってことになるんですね。その(逮捕できなかった)理由がまずわからない。そうすると、相当取材をしないとこれは難しいぞ、と。本当に誰か捜査の妨害をした、あるいは捻じ曲げたみたいなことがあったのかどうかってことを、(取材)やっていかなきゃいけないわけです」

 しかも、今回の「週刊新潮」の記事も詩織さんが売り込んだものではなかった。その後、山口氏が安倍首相のヨイショ本『総理』(幻冬舎)を出版したり、首相に近いコメンテーターとしてテレビに盛んに登場するようになっていったなかで、この事件を聞きつけた「週刊新潮」から清水氏にアプローチがあったのだという。

「取材がしたいということで、僕のほうに紹介があったんですね。それで、詩織さん本人とも相談をして、ご本人も、ぜひきちんと私はこれを世に出したいんだ、という。私もそこは同じだったので、じゃあ週刊誌の記者と会ってみますか? ということで、紹介をして、そして『週刊新潮』が取材に入ったんですね」

 そして、「週刊新潮」は、詩織さんの証言を裏付ける様々な証拠をつかむ。そのなかでも決定的だったのが、くだんの15年6月に山口氏が逮捕直前の空港で逃れることができた内幕をめぐる“一級の証言”だ。「週刊新潮」の直撃に対して、菅義偉官房長官の右腕といわれるエリート警察官僚・中村格刑事部長(事件当時)が「私が決裁した」と認めたのである。ここで初めて、山口氏の逮捕取りやめが、官邸と近い警察官僚の指示だったという紛れもない証拠が出揃ったのだ。

「DNA鑑定なんかも行われていて、そういう意味で元TBSジャーナリストと性的関係があったのは、もう科学的にも証明されているんですけども、そのうえでとった逮捕状が逮捕直前、成田空港で容疑者が戻ってくるときに逮捕を待ち構えていたら(捜査員に)電話が入って『やめだ』という話になった、と。全然わからないままね、事態が進んでいったわけですね。その状態が明らかになっていくのに、この2年の月日がかかったんですよ。ようやく、形が見えてきたわけですね」

 つまり、こうした裏どり取材によって初めて、山口氏の「準強姦疑惑」は記事として世に出ることとなり、それを受けて、詩織さんは記者会見を開くことになった。それがこの間の経緯に他ならない。詩織さんの告発が、ネット右翼たちが言うような「売名」や「政治利用」などということはありえないのだ。

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