瀬戸内寂聴「殺したがるばか」発言の何が問題なのか?“被害者感情”を錦の御旗にした死刑・厳罰化要求の危うさ

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曼陀羅山寂庵公式サイトより


 作家の瀬戸内寂聴の発言が大きな批判を浴びている。6日、日本弁護士連合会(日弁連)が福井市内で開催した死刑制度存廃をめぐるシンポジウムにビデオメッセージを寄せ、死刑制度を批判したうえで、このように述べたためだ。

「人間が人間の罪を決めることは難しい。日本が(死刑制度を)まだ続けていることは恥ずかしい」
「人間が人間を殺すことは一番野蛮なこと。みなさん頑張って『殺さない』ってことを大きな声で唱えてください。そして、殺したがるばかどもと戦ってください」

 この「殺したがるばかども」発言について、会場にいた全国犯罪被害者の会(あすの会)のメンバーや犯罪被害者支援に取り組む弁護士らが「被害者の気持ちを踏みにじる言葉だ」と反発。これを受け、日弁連も翌日の人権擁護大会のなかで「犯罪被害者への配慮がなかったことは、おわび申し上げる」と謝罪することになった。そして、ネットでは、寂聴に対するこんな非難、悪罵が連ねられている。

〈もし自分が被害者や被害者の家族や関係者だったら同じことを言えるのかね?〉
〈殺したがるばかどもは加害者の方じゃボケ左翼老人め。お前こそ、はよう死ね〉
〈加害者の人権は尊重するが被害者とその家族の人権は平気で踏み躙る。反日気狂い左翼の死に損ない〉

 しかし、寂聴の発言は、本当にここまで糾弾され、日弁連が謝罪しなければならないようなことなのだろうか。

 そもそも、寂聴は被害者遺族を「ばか」よばわりしたしたわけではなく、死刑制度を維持しようとする政府や権力を批判したにすぎない。そして、寂聴の「人間が人間を殺すことは一番野蛮」「日本が(死刑制度を)まだ続けていることは恥ずかしい」という死刑制度批判は、表現が情緒的ではあるが、本質をついている。

 なぜなら、死刑は誰がどう見ても「国家による殺人」であり、民主主義国家の理念とは相容れない制度だからだ。

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