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安倍応援団が台風19号で「安倍政権が八ッ場ダムを復活させ氾濫防いだ」と失笑デマ! 安倍政権は治水予算を大幅減額
安倍応援団が失笑デマを(首相官邸HP)
各地で大規模な水害をもたらしている台風19号。その混乱に乗じて、今回もネット上ではフェイクが飛び交っている。そのひとつが、群馬県長野原町の八ッ場ダムをめぐる「安倍首相が建設を再開してくれたから利根川氾濫を防げた」なるデマだ。
どういうことか。八ッ場ダムは来春の運用に向けて10月1日から試験湛水を行っていたのだが、3〜4カ月で水位を最高まで上昇させる予定が、台風の記録的豪雨によって13日にはほぼ満水となった。その満水の画像がTwitterで拡散され、「下流の利根川が氾濫しなかったのは八ッ場ダムのおかげ」なる称賛の声が相次いでいるわけだが、そのなかでまたぞろ、民主党をバッシングし安倍政権を礼賛するこんな言説が巻き起こっているのである。
〈八ッ場ダム、一晩でこれだけ溜まったのか。 民主党が差し止めてなかったらすでに試験湛水は終わってた。今回の台風前になんとか間に合ったのは、安倍内閣がちゃんと予算をつけたおかげだ。〉
〈民主党が反対してた八ツ場ダムがなかったらもう利根川は氾濫してたやろなぁ〉
〈八ツ場ダムって民主党が潰そうとしてたやつかヌゥ…… あの時中止にしてたら、民主党の望み通り東京が壊滅してたかも知れんとか怖……〉
〈民主党政権が崩壊し、安倍政権で自民が政権を奪還してなければ、八ツ場ダムが今回の降雨を受け止めることはできなかったわけだ。ほんと、民主党のおかげで、また災害を増やすところだった。〉
今回、八ッ場ダムの試験湛水が河川の氾濫防止にどれだけ寄与したかについては、専門家による科学的な分析と検証を待たなければならないが、いずれにしても、「民主党が無くそうとした八ツ場ダムを復活させた安倍政権のおかげ」なる言説は事実無根のデマである。
そもそも、八ッ場ダムは旧民主党政権時代に建設中止になっていない。たしかに八ッ場ダム建設をめぐっては、計画により水没する地域から大きな反対の声があがっており、民主党は2009年の総選挙で「時代に合わない国の大型直轄事業は全面的に見直す」と宣言、そのひとつとして「八ッ場ダム中止」を掲げていた。実際、当時の八ッ場ダムは計画が50年以上経ってもなお未完成であり、“超高額の無駄遣い公共事業”の代名詞となっていた。しかし、その後、民主党政権下での再検証を経て、野田内閣が2011年12月に建設再開を決めた。つまり、「安倍自民党の政権交代によって八ッ場ダムは復活した」というのは、明確に事実と異なるのである。
だいたい、八ッ場ダムを持ち出すこと自体、旧民主党叩きが目的の“為にする批判”としか言いようがない。繰り返すが、八ッ場ダム建設計画をめぐって国がダム調査を開始したのは1950年代のこと。そこから、中曽根内閣の1986年にやっと基本計画(約2110億円、2000年度完成予定)がつくられたが遅々として進まず、何度も計画を変更してきたという経緯がある。福田康夫内閣の2008年にも2015年度完成予定に変更しており、最終的な事業費は当初の2倍以上にも膨らんだ。
ようするに、八ッ場ダム計画は、自民党を中心とする歴代政権下でずっと難航していた案件だったのだ。それを“旧民主党ディス”のために、さも安倍政権が建設再開を決定したかのような虚偽を垂れ流すのは、どう考えても悪質なネトウヨデマと断じざるを得ないだろう。
しかも、今回の水害をめぐる“旧民主党ディス”のデマは八ッ場ダムだけではない。またぞろ「民主党がスーパー堤防を事業仕分けしなければ災害は防げた」なるネトウヨ定番のデマが流布しているのだ。
「民主党政権がスーパー堤防を廃止したから氾濫が起きた」のネトウヨ定番デマも
この件については本サイトでも以前、とりあげたことがある(過去記事参照
https://lite-ra.com/2015/09/post-1473.html)。2015年9月の関東・東北豪雨で茨城県鬼怒川の堤防が決壊したことがあったが、このときもネトウヨたちは「民主党が事業仕分けでスーパー堤防を却下したからだ」なる主張をSNSで拡散していた。今回もまったく同じ流れだ。
たしかに、民主党政権が2010年の事業仕分けでスーパー堤防を「廃止」と判定したことは事実だが、そもそもの話、スーパー堤防は完成までに400年以上の長大な年月と10兆円を超える莫大な金額がかかる試算された超巨大事業だ。仮に民主党が仕分けをおこなっていなくても、2019年現在までにスーパー堤防が機能していた可能性はゼロと言っていい。
さらに、ネトウヨたちはあたかも「安倍政権は民主党政権がおざなりにした治水対策を徹底している」というふうに嘯くが、これもデータを見れば事実でないことはすぐにわかる。
たしかに、民主党政権時代に治水関係の予算は減少した。だが、それは民主党政権になる前の自民党政権時代もそうだったのだ。約30年間のスパンで見ると、国交相の河川関係事業費のうち「治水事業等」にかかる年度予算は、1998年の32.5億円をピークに右肩下がりを続け、第一次安倍政権の2007年には15.3億円と半分以下にまで落ち込んでいる。
そして、民主党政権から再び自民党政権に変わったことで治水予算が大きく増えたかというと、そうではない。実際、民主党政権下の最終年2012年に11.2億だったものが第二次安倍政権の2013年では8.9億円と前年比減。その後も、第二次安倍政権下では8億から9億程度で推移しており、これは民主党政権だった2010〜11年とたいして変わらないのである。
もっとも、やみくもに金だけをかければよいというわけではないが、安倍首相の災害対策の意識低さを目の当たりにしてもなお、「民主党から安倍政権になってよかった!」と快哉を叫ぶ連中は、はっきり言って“頭の中がお花畑”だ。
本サイトで連続追及しているように、先の台風15号の際、緊急閣僚会議も開かず、総理指示も出さず、国民から批判を浴びたにもかかわらず、今回の台風19号でも「やってる感」のポーズをとるだけ。実際には、台風が列島を直撃して甚大な被害が出ていた12日には私邸で“のんびり休養”状態で、なおも被害が拡大し救助を待っている人も大勢いた13日夜には“ラグビー日本代表おめでとう”のツイートをして大顰蹙を買った。
しかも、人命救助の分岐点である発災後72時間以内に安倍首相が発したこのツイートは〈台風で大きな被害を受けた被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる被災者の皆さんにとっても元気と勇気を与えてくれる〉などと、台風被害をすっかり収まった過去のこと扱いするもの。現実には、多くの地域で孤立状態で救助を待っていたり避難生活を強いられていたり、自宅の浸水や停電にみまわれている人々が多くいるにもかかわらず、だ。国の予算をかけた治水事業も検証せねばならないのはもちろんだが、なにより、この国の行政の長である安倍首相の“意識の低さ”こそ、致命的と言わざるを得ない。
ネトウヨや安倍応援団はいま、安倍首相のおざなりな災害対策や意識の低さを無視して、デマでもはや10年も前の民主党政権を攻撃することで悦に入っているが、それがいかに愚かなことか自覚すべきだろう。今回の台風19号のような大規模災害は、またいつやってくるかわからない。本当に、安倍首相にこの国の災害対策を任せていていいのか。批判的に徹底検証しなければ、今回と同じ、いや、もっと甚大な被害を招く可能性は極めて高いのだ。
(編集部)
最終更新:2019.10.16 11:44
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