ワンダーウーマンは女性解放運動のアイコンとして用いられてきたヒーロー
ワンダーウーマンは、バットマンやスーパーマンと同じDCコミックスのヒーロー。1941年に連載がスタートし、これまでも何度か実写化やアニメ化されてきた作品だ。今回の映画では、女性だけが住む特殊な島で育ち、戦士になるための厳しい訓練を受けてきたワンダーウーマンことダイアナ(ガル・ガドット)が、島に不時着してきたアメリカ軍兵士のスティーヴ(クリス・パイン)との出会いから、第一次世界大戦の戦闘に巻き込まれていくという内容が描かれているという。
『ワンダーウーマン』という作品は連載開始以来、女性解放運動と縁の深いキャラクターであり、「強い女性」や「自立した女性」の象徴として度々用いられてきた。昨年10月にはキャラクターが国連名誉大使にも任命され、その記念式典の壇上では、1970年代にテレビドラマ版の『ワンダーウーマン』シリーズで主演を務めたリンダ・カーターがこのようなスピーチをしている。
「ワンダーウーマンはみなさんの内なる力を引き出してくれます。世の中の女性のみなさん、女の子たち。あなた方は何にだってなれるのです。夢見ることを忘れないでください。あなたの中のワンダーウーマンは、必ず期待に応えてくれるから」(ウェブサイト「ORICON NEWS」)
そんなことから、今回の映画『ワンダーウーマン』は、いわゆるアメコミアクション映画の主要ファン層ではない女性の観客も多く劇場に足を運んでおり、ウェブサイト「TVグルーヴ・ドット・コム」では〈アメリカでは通常スーパーヒーロー映画は60%以上が男性客だが、本作では女性の観客が50%を超えている〉と分析されている。
こういった背景を踏まえれば、なぜ映画ファンが「女は一人じゃ眠れない」という曲タイトルに怒っているかがよくわかるだろう。
とはいえ、問題とされている「女は一人じゃ眠れない」に関しては、ラジオなどでのオンエアー解禁前であり(21日解禁予定)、現状明かされているのはこの曲タイトルのみである。なので、蓋を開けてみたら、曲タイトルとは裏腹に「女性の力」を高らかに歌い上げた『ワンダーウーマン』らしい作品になっている可能性もある。
ただ、あまり期待はできないかもしれない。というのも、秋元康氏には、これまでも女性蔑視的な歌詞を大量に書いてきた経緯があるからだ。