「紗々(サシャ)って子は実際にいる。エレンは漢字で江連とか書けるからアリだと。ジャンも『鉄鍋の醤』ってマンガがある(笑)。アルミンは苦しいけど、有海とか有美の愛称と考える(笑)」
いや、もうここまできたら「もろにドイツ人の名前だから」なんて関係ないし、愛称がアリならどうにでもできただろう。やはり、もっと何か別の理由がある気がしてならない。というのも、同じように「ヴ」という発音や「ドイツ人の名前でしかないから絶対使えない」という理由だけで消されてしまったエルヴィンやライナー、ベルトルトといったキャラには、ある共通項があるからだ。それは、軒並み腐女子人気の高いキャラばかりということ。
実は、本サイトでは以前にもある指摘をしていた。それは、腐女子に熱狂的な支持を獲得しているリヴァイを出さないことで、腐女子に叩かれることを避けたのではないか。つまり、腐女子対策なのではないかというもの。リヴァイだけでなく、そのほかの腐女子人気の高いキャラまで登場しないとなれば、ますますこの説の信憑性が増してきたではないか。
原作は少年マンガなのに、腐女子対策のためだけにそこまでするなんてあり得ないと思うかもしれないが、諫山は「BRUTUS」(マガジンハウス)12月1日号でインタビュアーからリヴァイの腐女子人気について「最初からそこを狙ったわけではありませんよね?」と聞かれた際、次のように答えている。
「お姉さま方をがっかりさせてしまうかもしれませんが、自分の中にも腐女子がいるのかもしれないというか、これは腐女子にウケる気がする、というセンサーは働きました。『幽☆遊☆白書』の飛影みたいな雰囲気を狙っていて、造形ができた瞬間に「これはイケる」と確信したんです」
つまり、リヴァイは腐女子を意識して作られたキャラでもあるということ。実際、原作には腐女子が喜ぶ仕掛けがたくさんある。
たとえば、人気なのが審議所で拘束されているエレンをリヴァイ兵長が観衆の前で容赦なく蹴りまくる場面。しかし、腐女子はただ目つきの悪い人類最強のチビがドSっぷりを発揮していることに萌えているわけではない。実はこれ、解剖されそうになっていたエレンを救い、彼の希望通り調査兵団に入れるための芝居だったのだ。目つきも口も悪く、感情が読みにくいので一見冷徹に見えるが、実は仲間思いで不器用なだけという彼のギャップは、腐女子に妄想の余白を与える。