養護施設のスタッフはこう激励する。
〈私たちにとって、大切な人を奪うなんて、許されるはずがない。絶対よくなって、もう一度私たちに夢と希望を与えてください。(中略)“子供たちが胸を張って生きるためには負けちゃいけない”と。今度は先生の番です。負けてたまるかです。〉
いまワイドショーでは専門家が「話せるようにはなるが、歌うのは無理でしょう」と声をそろえる。だが、奇跡が起こらないと決まったわけじゃない。大阪の路上で燻っていたローカルバンドをトップに押し上げ、番組の企画に過ぎなかったガールズグループを国民的なアイドルに育て上げた男が、これから何を実現するかなんて誰にもわからないのだ。
そして何より同じ病を患う多くの人たちもその日を待っているだろう。
(相模弘希)
最終更新:2015.04.15 09:20