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旭化成、三菱電機、ライオン…“家事ハラ”アンケートに騙されるな

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『家事労働ハラスメント』(岩波書店)

 住宅メーカー・旭化成ホームズが行った家事に関するインターネットアンケートが、いま波紋を呼んでいる。

 この調査は全国の子育て中の共働き夫婦(30~40代)1371人を対象に行われたものだが、その結果、家事を「手伝う」と答えた夫は93.4%に上ったという。さすが家父長制度の古い世代や団塊世代とは違い、この世代の男性はかなりの割合で家事を分担しているんだな。……と思いきや、その後、このアンケートは大きな議論となっていく。というのも、家事を手伝う夫のうち実に7割が「家事のやり方が違う」「お皿にお汚れが残っている」「やり方が雑、下手」などと妻に罵倒された経験があるという結果が同時に公表されたからだ。

 家事を手伝う夫に対しての妻がダメ出し──。これが世の中の男性たちをいたく刺激したようで、「これは夫に対するパワハラ、家事ハラスメントだ!」として、“家事ハラ”なる言葉が大きくクローズアップされたのだ。このキャッチーな話題にメディアが飛びつかないわけがなく、『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)や『ノンストップ!』(フジテレビ系)、『いっぷく!』(TBS系)、『ミヤネ屋』(読売テレビ系)などの情報番組はこぞって“家事ハラ”を紹介。「せっかく家事を手伝っているのに妻に罵られる可哀想な夫」を取り上げていく。

 一方、別の視点からも“家事ハラ”に対して大きな批判が巻き起こった。そもそも旭化成ホームズのアンケートは “家事は妻が担うもの”で、夫は“それを手伝う存在にすぎない“という前提と意識のもとで行われたもの。そのため、ネットを中心に女性蔑視だ、家事を女だけに押し付ける男の論理だと非難が殺到したのだ。

 そもそも“家事ハラ”という言葉自体、女性だけに家事労働を押し付け強要することを問題にした言葉で、『家事労働ハラスメント』(岩波書店)の著者・竹信三恵子氏がつくったものだった。これまで日本、いや世界においても家事労働は女性が担うものとされてきた歴史があり、それは子育てや介護にまで及ぶが、これらは対価のもらえる“労働”ではなく、無償の“奉仕”。そのため、家事に従事する女性は経済的に弱者となり、時には蔑視の対象ともなっている。それこそが「家事ハラスメント」という言葉の定義である。意味をはきちがえたどころか、女性差別を助長するかのような結果をもたらした旭化成ホームズには抗議が行われ、アンケートと同時にオンエアされた“家事ハラ”CMも短期間で放映を打ち切られる事態となっている。

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