「インターネットが普及して、Web上でのアンケートが盛んに行われるようになりましたが、ほとんどのアンケートは企業によるリサーチや自社商品の宣伝のためのものです。これらのアンケートは質問の仕方が巧妙で誘導的。大量の質問をして、自社に有利な結果だけを発表しているケースも多い。公正なアンケート結果のふりをして、それを目にした人に自社商品を“買わせよう”という仕掛けです。しかも、アンケートに答えると様々な特典まで付いてきます。ポイントがついたり、抽選で金券や商品が送られてきたり、豪華懸賞品、現金の場合さえある」(ネットジャーナリスト)
ネットアンケートの多くは巧妙であざとい企業PRだが、一見するとそれに気づかない場合も多い。また、アンケートの中には「年収は?」「独身か既婚か」「持ち家か賃貸か」「家族構成は?」「最近欲しいものは?」「どんなスポーツが好き?」「趣味は何?」「どんなことに興味がありますか?」などと個人のプライバシーや嗜好を尋ねる項目も存在する。ベネッセの顧客情報流失事件でも明らかなように、個人情報を企業に提供する事にもつながる。
しかも、今回の旭化成ホームズをはじめ、ライオン、三菱電機に共通するように、日用品、家具、キッチンなどのアンケートの多くは“家事は女性がするもの”“家事は常に完璧でなければならない”という前提によって行われている。これは企業による女性への家事負担の押しつけともいえるし、世論調査と同じくその結果が“世の中の風潮”として一人歩きして行く危険もある。
企業アンケートはネット上に氾濫しているが、ユーザーは安易に参加する前に、こうした危険性、企業の思惑をきちんと把握しておくべきだろう。
(伊勢崎馨)
最終更新:2014.08.21 08:06