『バイキング』番組HPより
10月期番組改編で『バイキング』(フジテレビ)が1時間拡大し『バイキングMORE』となることが、予定通り9月7日に発表された。その4日前、9月3日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で「『なんでできねえ!』坂上忍“パワハラ”に『もう限界』フジ内部調査」と題した記事が掲載され、坂上忍にパワハラ疑惑が持ち上がっていたが、結局、まったく影響はなかったということらしい。
「視聴率が取れるタレントはパワハラやり放題ってことか」という怒りの声が聞こえてきそうだが、しかし、あの文春記事の内容では、坂上を降板させることなどできないだろう。というか、むしろなぜあの程度の話で、文春が大々的に記事にして、フジが内部調査までしたのか、その背景のほうが気にかかる。
言っておくが、坂上忍を擁護したいわけではない。実際、本サイトではこれまで坂上の薬物犯罪へのリンチ的な糾弾や体罰肯定の姿勢、番組内で見せる説教オヤジぶりや居丈高な物言いを何度も批判してきた。
だから、「週刊文春」の「坂上忍“パワハラ”に『もう限界』フジ内部調査」というタイトルや、リードの〈アナウンサーやスタッフへのイビリ〉〈長時間説教〉〈2カ月出入り禁止〉〈“消された”共演者〉、〈番組幹部が上層部に直訴し、社内調査も行われた〉といった記述を見たときは、「坂上はやはり裏でもひどいパワハラをしていたのか」「今回はさすがにただではすまないだろう」と決めつけたくらいである。
しかし、いざ読んでみると、その内容は拍子抜けするものだった。まず、アナウンサーや共演者へのパワハラ。「文春」があげていた具体的なエピソードは、榎並大二郎アナが「鼾(いびき)」という漢字を読めなかったことをいじり倒した、小籔千豊が女子レスリングのパワハラ問題や財務省事務次官のセクハラ問題で発したコメントにキレて嫌味を言った、という2つで、これらはいずれもネットでもさんざん話題にされてきた本番中の話にすぎない。
しかも、この2つに関してはむしろ坂上のほうに正当性があると言うべきだろう。
まず、漢字が読めなかった榎並アナをいじったという話だが、漢字が読めないのはアナウンサーとして致命的で、注意されても仕方がない。だいたいフジは榎並アナに限らず、漢字が読めないアナウンサーが多く、過去には「訃報」や「ご厚誼」「供物」が読めなかったとしてネットで非難を浴びたケースもあった。坂上がいじらなくても、話題になったはずで、むしろ番組ですぐにネタ化したことで、榎並アナが救われた側面もある。
小籔の件も、おかしいのは坂上ではなく、小籔のほうだ。「文春」は、小籔が一昨年9月にレギュラーを降板したのは、〈坂上の高圧的な態度に嫌気がさしたから〉だとし、小籔自身が『バイキング』では坂上の意向に沿わない意見を言うと、嫌な顔をされると暴露。「心、折れてきますよ」と発言したことを紹介していたが、ふだん後輩芸人に対して、あんな高圧的態度をとっている小籔がいったい何を被害者ヅラしているのかという話だろう。