坂上忍の“パワハラ”は番組内容に圧力をかけられたことへの怒りだった
スタッフに対するパワハラ疑惑も同様だ。「文春」は今年5月、番組の幹部スタッフが制作局長に「このままでは社員がもちません」と坂上のパワハラを訴えたと書いている。
しかし、その内容は「人前で面罵された」「楽屋に出入り禁止になった」「打ち合わせの報告書を突き返された」「台本の書き直しを命じた」というもの。「人前で面罵」「楽屋出入り禁止」は、パワハラに該当する可能性があるが、「打ち合わせの報告書突き返し」「台本の書き直し」がパワハラと呼べるのか。
坂上は『バイキング』が報道を扱うようになってから、番組内容や構成についてもかなり積極的に関わるようになっている。『バイキング』は政権べったりのフジテレビの放送であるにもかかわらず、どのワイドショーよりも安倍政権の政権不祥事を取り上げているが、これも坂上の意向が大きいという。
また、スタッフに指図するだけでなく、坂上自身もかなり政治問題を勉強しており、何時間も前に局に入って予習していることを共演者に明かされたこともあった。
打ち合わせ内容の報告書や台本の書き直しを命じたという話は、こうした姿勢の延長線上で出てきたものであり、放送内容への責任感の現れというべき話だろう。
また、面罵や楽屋への出入り禁止についても、相手としてあがっているのは、ADや制作会社の社員でなく、全員がフジの社員、それもプロデューサーとかディレクターなどの責任者ばかりだ。パワハラの基準には「優越的な関係に基づいて行われること」とあるが、フジの幹部社員は発注者なのだから、パワハラかどうかは微妙だろう。
しかも、決定的なのは坂上が怒鳴りつけたり、楽屋に出入り禁止にした理由だ。実は「文春」には、フジの社員のこんなコメントが載っていた。
「ガミさんが一番キレるポイントは、放送内容に制限がかかること。たとえば芸能スキャンダルを扱う際、局とプロダクションの関係でボツになると激昂し、プロデューサーを怒鳴りつける。あるディレクターは打ち合わせの場で露骨に無視され、二カ月近くガミさんの楽屋に入ることを許されなかった」
なんのことはない、坂上は番組内容に圧力をかけられて、怒っていただけなのである。
実際、「文春」の取材を受けた坂上自身もスタッフを楽屋を出入り禁止にした理由について、以下のようにコメント。番組内容に圧力がかかってつぶされたことが原因であると示唆していた。
「ひとりいらっしゃいますよ。理由を言ったら、その人が可哀相。ただ文春さんもそうだと思うけど、圧力との戦いがあるんですよ。たとえばあるネタに『いけますよ』と言われて動いているのに、翌朝になって台本が上がる頃に無理ですとなり、代替案もない。こうしたときに『申し訳ないけどもこの表情が出てはいけないので、しばらく距離を置きましょう』というやり方はありました」