シンポジウム主催のNPO幹部は大阪府・大阪市IR推進会議の委員も務めていた
しかし、問題はここからだ。この500ドットコムと協力関係にあった依存学会幹部の2人は、その関係があった時期、大阪府・大阪市IR推進局が夢洲地区へのIR誘致を検討・協議する「IR推進会議」(座長=溝畑宏・公益財団法人大阪観光局理事長)の委員を務めていたのである。
谷岡氏は2017年の大阪IR推進会議に発足当初から2019年2月の第10回会議まで委員を務めた。第2回会議から第9回までは座長代理に就任し、府民・市民向けのIRセミナーで何度も講演しているだけでなく、大阪維新に所属する府議会議員の集会にも参加していた形跡がある。
勝見氏にいたっては、“維新のドン”である橋下徹氏が首長時代から「大阪カジノ構想」に深く関与してきた。勝見氏はかつて「大阪エンターテイメント都市構想研究会」なる、2009年に大手ゼネコンや広告代理店らが設立した団体で研究員を務めていたのだが、この「都市構想研究会」は2010年1月、カジノに関する報告書をまとめて大阪府に提出。橋下府知事が掲げた「大阪カジノ構想」のたたき台となったと言われている。同年、大阪府は「大阪エンターテイメント都市構想推進検討会」を発足し、勝見氏はそのメンバーとなった。そして、2017年に大阪IR推進会議が発足すると、当然のように委員に就任し、2018年2月の第7回会議まで委員を務めた。
しかも、依存学推進協議会の谷岡氏と勝見氏が、大阪行政のIR推進会議の委員として意見を述べていた時期は、500ドットコムがこのNPOと接触し「共同研究」をぶち上げていた時期と重なる。
結果的には、500ドットコムが大阪のカジノ構想に食い込んだ形跡はないが、少なくともカジノ業者たちはこうして様々なルート・手段を使って、カジノ利権に食いこもうとアプローチを行なっているということだろう。そして、政治家や官僚、学者までがその誘いにホイホイのって、癒着関係を築いていく。まさに、IRはいま、原子力ムラと同じような利権の巣になろうとしているのではないか。
メディアは疑惑の徹底追及するだけでなく、利権しか生まないIR法を即刻廃止に追い込むべきだ。
(編集部)
最終更新:2019.12.29 10:36