500ドットコムCEOと内閣官房事務局長が参加したシンポジウム主催団体の正体
今回の贈収賄事件については、逮捕されたのが秋元議員で、ターゲットが北海道の留寿都村だったことから、「IR利権の中心からは遠い小物、マイナーな勢力がおこぼれに預かろうとした不正ではないか」ともいわれていたが、菅官房長官の右腕で、IR推進の中心的官僚が関わっていたとすれば、話は大きく違ってくる。
いや、IR推進の官僚だけではない。実は、500ドットコムはIR誘致が決定的といわれる大阪府や大阪市、そして、大阪を拠点とする日本維新の会にもアプローチしていた可能性がある。
鍵を握るのは、500ドットコムと密接な協力関係をしき、くだんのシンポジウムを開催したNPO法人依存学推進協議会だ。
不可解なことに、会のホームページは秋元容疑者が逮捕された前後から閲覧できない状態になっているが、この依存学会の幹部には、以前からIRを積極的に推進してきた学者やカジノやギャンブル業界と深い繋がりを持つ企業関係者、大手広告代理店のIR推進担当者たちが参加している。
しかも、この依存学会の幹部を調べていくと、“大阪のIR推進勢力”とのただならぬ繋がりが明らかになる。
まず、依存学会の副理事長で、潘CEOや中川事務局長とともに問題のシンポジウムに参加していた谷岡一郎・大阪商業大学学長だ。谷岡氏はカジノやギャンブルについての著作を多数もつ「IR推進派」の学者。学長を務める大学の大学院にIRの専門コースまで設置している。谷岡氏はIR推進論客として「Hanada」(飛鳥新社)2017年2月号にも登場し、当時、審議中だった「IR法案」に反対する野党を批判。さらに〈カジノが新しく作られた地域でギャンブル依存症患者が統計上増えるのは、ほとんどが「ギャンブルをやめられないのが病気である」ことに気がついた人が増えるためと、もうひとつ、「相談窓口と治療施設が増えた」ことによると考えられる〉などの持論を展開していた。
もうひとりが、理事の勝見博光氏だ。勝見氏は研究者であると同時に、大阪にある「IR戦略コンサルティング会社」の代表取締役社長でもある。この会社は〈日本のカジノユーザー約3万人が登録する、日本最大級のカジノとリゾートの情報サイト〉の運営等も行なっており、昨年秋には、大阪市北区に「カジノを疑似体験できる」と謳う店をオープンしている。同店では、客に飲食物を供するとともに、実際にディーラーがポーカーやバカラなどの遊戯を行う。メディアにも取り上げられ、勝見氏は「IR関係者が集まって交流するような場にしたい」などと語っていた。さらに勝見氏は、IRへの参入が取りざたされる日本のパチスロ大手・セガサミーホールディングスが今年になって立ち上げた一般社団法人「セガサミー文化芸術財団」の「クリエイティブディレクター」にも就任している。