予算1億7200万円の即位式典「総理大臣夫妻主催晩餐会」が入札なしでニューオータニに
贈収賄の可能性──。たしかに若狭弁護士が言うように、安倍首相の職務権限は「強く幅広い」。実際、今年10月22日におこなわれた「即位礼正殿の儀」の翌日23日には、4月の「前夜祭」と同じホテルニューオータニの「鶴の間」で「内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」を開催。海外要人など602人が参加し、その予算総額は予算1億7200万円にものぼっている。
ちなみに、同じ即位にまつわる祝宴で、皇居で行われた「饗宴の儀」の料理は、8月に一般競争入札方式で最低価格だったグランドプリンスホテル新高輪が落札したが(落札価格約8400万円)、「内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」の会場選定のほうはなぜか、そうした入札なしでニューオータニに決められていた。
内閣府に設置された「皇位継承式典事務局」によれば、「舞台スペース(平成度の実績:220席分)を除いて約900名の正餐が行える宴会場を有する」「元首など各国要人をもてなすため、非常に高いレベルの接客及び充実した設備・ノウハウを兼ね備えている」「前日も使用可能」「23日に大きなイベントがないこと」の4点が選定理由だという。これくらいの条件ならば、帝国ホテルの「孔雀の間」やホテルオ−クラの「平安の間」は「鶴の間」と同規模の宴会場であるし、いろいろ候補にあがりそうなものだが、しかし〈事務局において調査した結果、選定のポイント1〜4までの全ての項目をクリアしたホテルは、「ホテルニューオータニ」のみ〉と結論づけたのだ。
このように不可解な決定をみると、ニューオータニと安倍首相の“裏取引”を訝しむ向きが出てくるのも当然だろう。実際、刑法が専門の園田寿・甲南大学教授は晩餐会の問題を取り上げて、「不当な値引きの背景には、こうした国発注の行事もあるのではないか」(共同通信19日付)と言及している。
どんどんと疑惑が濃く、さらに大きくなってゆく「前夜祭」問題。前述した若狭弁護士は「後援会による補てんでも、ホテル側による割引でも、違法の疑いがある。宴会費だけでなく会場代などでも新たな利益供与が分かってくれば金額は増える。数年分をまとめれば立件できるかもしれない」とも語っているが、ともかく安倍首相は、ここまで国民に疑念を抱かせていることを反省し、嘘をつくのもいい加減にすべきだ。そして、その嘘は必ずバレるということを、肝に銘じてほしい。
(編集部)
最終更新:2020.10.28 03:03