いや、問題はメディアだけではない。とくに醜態を晒しているのは、いつもの安倍応援団メンバーたちだ。たとえばTwitterでは、田母神俊雄氏は〈これで職を辞することになれば日本はますます言論の不自由な国になる〉と述べ、池田信夫氏は〈週刊新潮の記事を読むかぎりでは、福田氏は若い女性記者の不勉強な質問を猥談ではぐらかしているだけ〉と投稿するなど、若い女性というだけで不勉強だと決めつけ、オヤジの論理を全面展開してセクハラを完全容認。
また、三浦瑠麗氏も〈性暴力は親告罪。セクハラでも被害者が情報を提供しないと、それ以外に認定することができない〉と昨年の刑法改正を知らないという無知を晒したかと思えば、財務省による調査協力という名の“恫喝”行為を〈みんなで名乗り出ないと Metooにはならない〉〈ここではみんなで「言えないよね」というのではなく、いるならみんなで名のり出よう、というべき〉などと言い出した。
だが、図抜けて醜悪なのが、百田尚樹氏だ。百田氏は、元朝日新聞の女性記者が『バイキング』(フジテレビ)に出演し、取材相手に胸を鷲掴みにされるという被害に遭い、男性の先輩に相談したところ「これくらい我慢しろ」と言われてしまったという出来事を告白したシーンの動画を貼り付けた投稿をリツイートするかたちで、こう述べたのだ。
〈なるほど! これから朝日新聞の女性記者に取材されたら、オッパイを鷲掴みしよう。
文句言われたら、「それくらい我慢するのが社の方針というのを知らないのか!」と言ってやる。〉
メディア内で女性記者が置かれた立場が問題となっているのに、「朝日の記者なら性暴力を働いてもOK!」などと言い出すとは。このような人物が作家を名乗り、一時はNHK経営委員だったことを考えると背筋が凍るようだ。
こうしたメディアや安倍応援団の反応を見れば十分予想されたことだが、ネットでは女性記者の名前や画像がさらされ、おぞましい個人攻撃がすでに始まっている。
メディアは内省もなく他社叩きに勤しみ、被害者を責め立てたり、はたまた加害を予告するような低レベルな言論がまかり通る社会──。しかも、福田氏の職務は「(被害者が名乗り出ることは)そんなに苦痛なことなのか」と答弁した矢野官房長が代行するというのだから、呆れ果ててしまう。
ともかく、セクハラを矮小化し、福田氏を庇った人間を黙認することなどあり得ない。まずは「福田の人権はなしってわけですか」などと宣った麻生財務相の、即刻辞任を要求しなければならない。
(編集部)
最終更新:2018.04.19 10:54