実際、このあと中村は、ホストクラブ通いにハマったり、数十箇所におよぶ整形手術を繰り返したり、はたまたデリヘル嬢として風俗店で働いた体験録を発表するなど、破天荒さに磨きをかけていった。そして2013年には、原因不明の病で生死を彷徨った。だが、闘病生活を送る中村の傍らには、懸命に彼女を支えようとする夫の姿があった。その後も「もちろん性的関係は全然ない」(不良系情報サイト『WARUMON』でのインタビューより)という。……中村が感じた「絆」で、ふたりはいまも結ばれているようだ。
とかく世間は「結婚」や「愛」のかたちを「常識」の枠にとどめて考えようとする。しかし、愛する男女が夫婦となり子をなすのが自然、などというのは、古い国家主義の価値観でしかない。家族愛を感じた相手と生活をともにする、それも夫婦のかたちなのだということを、中村は実践をもって示してきた。きょうからはじまる『偽装の夫婦』も、中村のように、世間の「常識」を打ち破る、そんなドラマになってくれればいいのだが。
(大方 草)
最終更新:2015.10.07 06:36