考えるまでもなく日本は台風の通り道に位置し、また地震大国として知られる。海に囲まれた小さなし島国であり津波も多い。さらにゲリラ豪雨も年々増え続け、また温暖化の影響で海水温度が上がり台風も過去にないほど巨大化するなど、様々な危険リスクが存在している。そして東京を襲う洪水は、こうした多くの自然的要因で起こり得るものだ。しかしこのような大きなリスクがあるにも関わらず、日本ではその対策はあまりにお粗末だという。
「気候変動による降雨強度が増えるという地域ごとの計算をしているものの、それを具体的な河川の整備計画に反映していないのです」
「堤防の高さも、堤防の強度も、高潮の護岸も一切補強することが出来ず、従来のままに留め置かれたままなのです」
そのためか昨年スイスの再保険会社がまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」では東京・横浜地区はなんと堂々の世界1位!(東京だけでなく大阪・神戸地区は世界第5位で続く6位は名古屋である)。自然災害に弱い国家。それが私たちの住む日本なのだ。
「もはや、一刻の猶予もありません」と訴える「首都水没」だが、最後に、同書の著者によるさらなる恐怖の警告を紹介して、東京都民、そして日本国民にその危険性を再度伝えておきたい。
「東京の場合は、大潮の満潮時にゼロメートル地帯の堤防のどこか1カ所を破壊するだけで、首都が水没し、地下鉄、共同溝、電力通信の地下連絡網のあらゆる機能が失われるのです。『日本沈没』です。日本を攻撃するのに大量の軍隊も核兵器も必要ありません。無人攻撃機1機で足りてしまうかもしれません。ゼロメートル地帯の堤防をわずか1カ所決壊するだけで、日本は機能を失うのです」
(伊勢崎馨)
最終更新:2018.10.18 05:38