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元都庁の土木専門家が明言! 集中豪雨で東京の4分の1が水没する

 なぜ、東京はそこまで水害に弱く危険なのか。大きいのは地形的な問題だ。水は高いところから低いところへ流れるのは当然のことだが、「(関東平野の)一番低い場所、すなわち洪水が起こったら絶対に水が集まってくる場所に首都東京がある」。

 かつて関東平野の大きな河川は全て江戸湾(東京湾)に注いでおり、そのため何度も洪水を起こしてきた。それが肥沃な大地の源泉でもあるのだが、江戸時代になると流路を変更するなどいくつもの河川改修事業が行われて行った。他にも小さな川が多く流れていた土地だった江戸、そして東京に首都機能が整備されていったわけだが、流路を遷した川の中に巨大河川・利根川もあった。

「日本最大の流域面積を持つことになる利根川の水を、堤防一枚で東京から銚子の方へ無理矢理流しているのです。洪水になれば水は昔の川筋に従って流れます」
 
 こうした地形的な問題に加え、東京に出現したのが「ゼロメートル地帯」だ。これは人が猛烈な勢いで地下水を汲み上げたことで地盤沈下が進行し拡大していったものだが、これも洪水の危険性をより高めるものとなっている。

「一時、私たちが行ってきた治水対策は、功を奏し、洪水を目の前から取り去ったように思えますが。それは次なる大洪水を先送りにしただけに過ぎません。現在の首都東京は明治時代以来、先人の治水技術者達が目指した、治水対策すら完成していないのです」

 だが東京を洪水が襲う危険性はこうした地理的問題だけではない。それが前述したシミュレーションにも登場する「東京の地下に網の目のように張り巡らせた地下鉄」の存在だ。

「東京の地下鉄は全てつながっています。一番深い位置を通る大江戸線は、まさに地下の連通管なのです」

 さらに大江戸線が洪水で満杯になれば、次はその上の地下鉄を洪水は満たして行く。地下鉄が満杯になれば、今度は地上にあふれてくることになる。いや、地下には地下鉄だけでなく、共同溝や電力通信施設など地下トンネルがあり、それらは全てに繋がり、洪水を拡散させていくという。

 東京の雨水の排水能力は1時間で降雨量50ミリメートルが限界だ。それ以上の雨が降れば、洪水でなくても水が地上に溢れ出すのだという。逆にいえば、この条件下に危うく成り立っているのが、我が国の首都東京ということだ。 

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