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ToshIはなぜ洗脳され、そして逃げ出せたのか…X JAPANドキュメンタリー映画にも出てこない洗脳事件の真実

 洗脳に陥る前、彼は2つの悩みを抱えていた。1つは家族に関係する問題である。まずは長兄。ToshIは個人事務所立ち上げの際、レコード会社や芸能事務所に勤務し芸能の仕事に精通していた長兄に社長をお願いしていた。しかし、その期待は裏切られることになる。自分のラジオ番組でトークの相手役に長兄を抜擢すると、もともと芸能人としての成功を夢見ていた彼は、ToshIのファンの間で名の知れたタレントになったことで舞い上がり、社長業としての仕事がどんどんおろそかになっていく。彼の素行に対して他のメンバーからもクレームが出るようになり、ToshIは社長を解任させなくてはならない事態にまで追い込まれてしまうのだった。さらに追い打ちをかけるように、今度は母の行動がToshIを傷つける。母は自分の息子やYOSHIKIの幼少時の写真(ToshIとYOSHIKIは幼小中高が同じ幼なじみ)をファンに見せて金をとっていた。この行動にもX JAPAN関係者から抗議の声が入り、ToshIは各所に謝罪することになる。

 スターとして成功したToshIを自らの「欲」のために利用する家族の姿を目の当たりにした彼は人間不信に陥ってしまう。そしてそこに重なったのが、歌手としての自信喪失である。バンドが世界進出するのにともない、YOSHIKIから要求されるヴォーカルのレベルは一段と厳しさを増していく。ピッチやリズムなどはもちろん、ネイティブが聴いても違和感のない英語の発音など、努力してもYOSHIKIの満足するレベルの歌を歌うことはできなかった。そのことが歌手としての自信喪失へとつながっていく。

 映画『WE ARE X』でも、『ART OF LIFE』のヴォーカルレコーディングだけで1年間を費やしたことや、この時期を境にToshIとYOSHIKIの間で普通の日常会話ができなくなっていく過程が赤裸々に明かされていたが、前出『洗脳』では、その時期の怒りと悔しさについてこのように綴っている。

〈僕は、YOSHIKIの要求に応えられない自分のふがいなさに、自分自身に憤り、またそんな要求をするYOSHIKIにも憤りを感じていた。自分の歌のレベルがあまりにも低いことを痛感していた僕はX JAPANのヴォーカルとして、メンバーとして、やっていく自信も、気力も、またその資格もない……と思うようになっていった。スタジオには日々暗く重い雰囲気が漂い、YOSHIKIとはほとんど口を利かなくなっていた〉(以下、すべて『洗脳』より)

 家族のことは信頼できなくなり、さらに、バンドのなかでも居場所がなくなっていく。そんな心の隙間に「洗脳」の魔の手が忍び寄る。きっかけは、1993年にロックオペラ『ハムレット』の主役を演じてくれないかという依頼が舞い込んできたことだった。歌手としてのステップアップにもつながるこの話をToshIは快諾するのだが、そこで共演し、後に結婚することになる守谷香との出会いが彼を悲劇に落とし込んでいく。

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