元内調トップの北村滋も、総裁選で暗躍か 公安を使って河野太郎の情報を集めているとの見方
しかも、今回の総裁選で動いている安倍側近は今井氏だけではない。安倍政権時代は内閣情報官として、さまざまな政敵潰しの謀略を仕掛け、「官邸のアイヒマン」ともいわれた北村滋・元国家安全保障局長の動きも活発になっている。
北村氏は7月、股関節の治療を理由に、国家安全保障局長を退任。ところが、そのあとすぐに、『文藝春秋』9月号のインタビューに登場し、「病気はあくまで言い訳で、菅政権を見限って退任した」とささやかれていた。
そして、実際に菅政権がごたつき、岸田文雄氏が総裁選に立候補を表明する少し前から、やはり岸田陣営と接触している。
「岸田氏と北村氏は開成高校の同窓で、北村氏は安倍氏と岸田氏をつなぐパイプ役にもなっている。昨年、開かれた同校の同窓会『永霞会』では、岸田氏が会長を務め、安倍前首相のメッセージを北村氏が代読するということもあった。総裁選に突入してからは、岸田陣営にいろいろ情報を上げているという話だ。自民党議員や党員の情勢を逐一上げているのはもちろん、公安ネットワークを使って、石破氏や河野氏のスキャンダルを必死で探しているという情報もある。もしかしたら、近く週刊誌の」(前出・全国紙政治部デスク)
まさに、総裁選を前に安倍謀略政治を担ってきた両輪が揃い踏みという感じだが、しかし、重要なのは、彼らがいま、岸田陣営についていても、飼い主はあくまで安倍前首相であるということだ。
この先、もし、岸田氏よりも高市氏のほうが勝ち目があるとなれば、安倍前首相とともに、今井氏も北村氏も岸田氏を切り捨て、高市氏に乗り換えるだろう。
そして、河野氏優勢の状況が変わらず、河野氏が総裁になったら、2人は安倍氏が河野氏をコントロールするために、これまでかき集めた情報を使って、揺さぶりをかけるはずだ。
「実際、河野がここにきて、脱原発や女系天皇を撤回したのも、安倍の支持が欲しいという積極的理由よりも、今井や北村の揺さぶりが効いてるんじゃないか。まともに安倍に逆らったら、スキャンダルを仕掛けられかねないという恐怖で日和っている部分もあるんじゃないか」(前出・政治評論家)
安倍・菅政権が終わっても、謀略政治はまだまだ続くということなのか。
(田部祥太)
最終更新:2021.09.11 09:16