首相官邸HPより
医療崩壊と全国的な感染拡大が止まらないというのに、またも無為無策──。昨日17日、京都、兵庫、福岡など7府県を緊急事態宣言の対象に加えたことに伴い菅義偉首相が記者会見をおこなったが、抜本的な対策の見直しや新たな施策はゼロ。この期に及んでも、感染拡大の理由について自身の無策や五輪強行開催は無視して「要因は感染力が極めて強いとされるデルタ株」と断言した。
ところが、この発言が思わぬ盛り上がりを見せた。というのも、この菅首相の発言を共同通信は「感染急拡大の原因はデルタ株と首相」とタイトルに打って配信。共同としては「『感染急拡大の原因はデルタ株』と首相(が発言した)」という意味でタイトルにしたのだろうが、「感染急拡大の原因は“デルタ株と首相”」とも読めるため、ネット上では〈おお!確かに、感染拡大の原因は「デルタ株」と「首相」で間違いない〉〈うん。そうだね。デルタ株と首相だね〉〈そのとおり。デルタ株と、何も有効策を講じない菅首相が原因〉という声があがったのだ。
共同にとっては予期せぬ事態だったろうが、しかし、まさしくこれこそが事実だろう。デルタ株の感染力の強さは五輪前からずっと指摘されてきたというのに、自分にとって都合の良いデータや情報しか見ず、耳に入れない菅首相は、デルタ株の影響を過小評価した野村総研のデータを信じていただけだからだ。
それだけではない。自身の“ご意見番”である内閣官房参与に登用された高橋洋一氏は、5月に〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑〉とツイート。これが問題となって結果として辞任に追い込まれたが、本サイトでも指摘したように、高橋氏は東京の新規感染者数が5000人を超えても〈この程度の新型コロナ状況では、医療崩壊は考えにくい〉と主張し、最近も竹中平蔵氏との対談で「さざ波よりさらにちっちゃくなっちゃって」などと言い張っている。こんな人物を内閣官房参与として重用していた事実だけで、背筋が凍るだろう。
しかし、高橋氏が辞任したからといって問題は何も解決していない。じつは、いま現在も菅首相のご意見番として内閣官房参与を務める人物が、とんでもない発言をおこなっているからだ。
その人物とは、菅首相がコロナ対策のために内閣官房参与に引き立てた岡部信彦・川崎市健康安全研究所長。岡部氏は「GoToトラベル」にお墨付きを与えた人物だと報じられており、昨年11月には「週刊文春」(文藝春秋)で政府分科会メンバーが「菅首相は個人的に岡部氏の意見ばかり聞いて、分科会の議論を尊重しないように映ります」とコメントしていた。
そして、その岡部氏が16日に公開された「BuzzFeed Japan」のインタビューで、絶句するような発言を連発しているのだ。