「24時間楽しめる世の中こそ、是正が必要」とコロナを庶民のせいにした岡部内閣参与
では、菅首相の感染対策の最大のブレーンともいえる岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は何を言ったのか。
たとえば、政府はいま、新型コロナの感染症法上の扱いを結核やSARSなどと同じ「2類」相当から季節性インフルエンザと同等の「5類」にまで緩和しようと検討をおこなっているが、この問題について岡部氏は「議論しておかなければいけないこと」「私は、新型コロナは、軽症者に関しては普通に外来で診てもよい病気になってきていると思ってます」と発言。現在は公費負担となっている医療費についても、こう発言している。
「そんな高額ではなく、いくらかは自己負担も払ってもらうことを考えるかもしれません。僕は医療費が全額無料、あるいは医療費がどのくらいかかるかがわからないまま済んでしまうと、結局医療費の無駄遣いや「やってもらって当たり前感」が出てきてしまい、よくないと常々思っています」
経済的負担を生じさせることは防疫の観点から考えて感染拡大に手を貸すだけだというのに、保健行政にかかわる人物が「医療費の無駄遣い」「やってもらって当たり前感が出てくる」などと口にする──。さすが菅首相が引き立てただけの人物だと思わざるを得ないが、これを岡部氏は「ウィズコロナ(コロナと共生)という考え方」と言うのだ。
しかし、もっと酷いのはこのあと。岡部氏は「人から人へ完全にうつらないようにするのは難しいですが、今後も感染を下げる努力はしないといけません。その意味でも暮らしの一定の制限は今後もあり得るかもしれません」「プレコロナ(コロナ以前)には完全には戻れません」と言うと、こうつづけるのだ。
「むしろ、あの便利すぎる、なんでも24時間楽しめるかのように見えた世の中こそ、是正が必要なのかもしれません。新型コロナは「眠らない夜」ではなく、「静かなる夜」に戻すための鉄槌かもしれない。通常の生活が制限されないぐらいの注意はこれからも必要でしょうね」
コロナは「静かなる夜に戻すための鉄槌」……!? あらためて指摘するまでもなく、コロナによる国内死亡者は1万5000人を超え、いまも菅政権の無為無策によって医療崩壊が起こり、多くの人が命の危険に晒されている。さらにその感染防止対策の失敗によって経済的にも多くの人が大打撃を受けている。にもかかわらず、内閣官房参与という立場にある岡部氏は“コロナは便利な現代社会に対する鉄槌”などと表現しているのである。