NHKアーカイブスHPより
デルタ株の感染拡大に加え、バブル方式破綻やデタラメな感染対策が次々露見し、地獄絵図になる可能性がますます高まってきた東京五輪。
しかし、マスコミ、特にテレビはひと頃の批判姿勢はどこへやら。各局とも五輪を無理やり盛り上げようと、本番直前のオリンピック特番を次々放送し始めた。莫大な金を使って放映権を買った以上、どうしても五輪を盛り上げる必要がある上、民放にとっては、特番をやれば、五輪スポンサーが提供について金が入ってくる、ということだろう。
もちろん、この特番ラッシュはNHKも例外ではなく、『スポーツ酒場“語り亭”東京2020オリンピック 開幕直前スペシャル』といったバラエティ特番はもちろん、『東京リボーン スペクタクルシーンを凝縮 首都大改造の3年間』『オリンピックの群像“不敗の勇者 山下泰裕” 』など、政権や組織委ヨイショのような特番まで、さまざまな特番の放送予定が組まれている。
政権に忖度してコロナ感染をめぐる報道まで圧力がかかっているといわれるNHKらしいラインナップだが、しかし、そんななかで、放送されることが、空疎な盛り上げとは逆に、東京五輪強行への疑問を喚起するかもしれない特別番組がある。
それは、五輪開会式前日の7月22日にアンコール放送されることが発表された『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK)総集編だ。
周知のように、同作は宮藤官九郎が脚本を担当し、当初、東京五輪が予定されていた2020年の前年2019年に放送された。
だが、この『いだてん』については、NHKがアンコール放送を発表する少し前、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』などで知られる脚本家の野木亜紀子氏が、五輪開催強行に疑問を投げかける文脈で、こんなツイートをしていた。
〈オリンピックとは何であるか。今こそ『いだてん』の再放送が必要なんじゃないか。と思うけれどもオリンピックはすでに二週間後なので放送しても間に合わない。つか、マジでオリンピックやるの?その引き換えに飲食店や酒類販売業者を悪者にするの無理がない?感染の原因は本当にそこだけなの?〉
たしかに、野木氏がこの状況で『いだてん』の再放送を口にした理由はとてもよく理解できる。
なぜなら、この『いだてん』にはまさにいま、東京五輪を強行しようとしている人たちに突きつけるべきメッセージが含まれているからだ。
それを象徴するのが、37話、そして最終話に登場する「いまの日本は、あなたが世界に見せたい日本ですか?」というセリフだ。