東北新社のスターチャンネルがBS放送枠を得た年に創業者から菅首相に100万円
たしかに当時、総務省は2011年のテレビ放送完全デジタル化に伴ってBSデジタル放送枠を追加することを公表、委託放送業務認定申請の受付を2009年2月から開始している。これにはウォルト・ディズニーやBBCといった有力な外資系も名乗りを上げるなど29社38チャンネルから申請がおこなわれたが、総務省は同年6月10日に9社の参入を決定。そして、このときスターチャンネルは新たに2番組のBS放送枠を得ているのだ。ちなみに、当時の株式会社スターチャンネルの代表取締役会長は植村伴次郎氏である。
そして、この激しい競争のもとでの2番組の参入が決まってから、わずか2カ月後に、代表取締役だった植村氏から100万円もの献金を菅首相は受けていたのだ。これはまさしく“口利きのお礼”だったのではないのか。
いや、そもそも菅首相の長男である正剛氏が植村伴次郎氏の“鞄持ち”になったとされているのは、2008年のこと。「週刊文春」(文藝春秋)2月11日号では〈正剛氏は植村家の鞄持ちの傍ら、入社時から映画専門「スターチャンネル」など衛星放送事業に関わる総務省の窓口を担当していた〉と記述されていた。
つまり、スターチャンネルがこのBSデジタル放送への新規参入申請をおこなった際も、「総務省の窓口」として正剛氏が動いていた可能性も十分考えられるのだ。
競争激化のなかで長男を伴次郎氏に預け、スターチャンネルが「いちばん視聴者の多い帯域で2つのチャンネルを得ることができた」という事実、さらに総務省が認可を決定してからわずか2カ月後の100万円の献金──。これまで、高級接待を受けてきた総務官僚たちが接待後に東北新社を特別優遇してきたことが取り沙汰されてきたが、しかし、今回判明した100万円の献金を考えても、紛れもなく菅首相こそが便宜供与の中心に存在しているのである。
小西議員から「当時、植村伴次郎氏からスターチャンネルの2チャンネルをプラチナ帯域に認定するように、そうした依頼を受け、総務省に働きかけたことはありませんか?」と追及された菅首相は、「植村さんという方は、私の秋田の田舎の出身で、私が国会に出てから、非常にかわいがっていただきました。しかし、どんな小さなことでも、依頼を受けたことは一切ありません」と否定した。
しかし、この期に及んでも2009年に献金を受けていた事実を隠していたのは、自身の便宜供与問題に発展するのを恐れてのこととしか思えない。