左・西村コロナ担当相/右・尾身会長(内閣府HPより)
本日31日、東京都の新規感染者が463人と過去最多だったのをはじめ、大阪府や愛知県、福岡県など都市部で感染が急拡大し、全国でも1500人以上と3日連続で最多を更新している。そんななか、本日の新規感染者数が71人となった沖縄県の玉城デニー知事は、県独自の緊急事態宣言を明日8月1日から発出することを発表。県民に不要不急の外出自粛や、県外からの訪問者に対しても「慎重な判断」を求めた。さらに、岐阜県の古田肇知事も「第2波非常事態」を宣言した。
だが、こうした動きのなか、信じられないことが起こった。本日、政府の分科会が開催され、その後、西村康稔コロナ担当相と分科会の尾身茂会長が会見。「感染状況を4段階に分ける」などと発表したが、その一方、「Go Toトラベル」の感染が広がる都市部の除外問題についてはまったく言及せず。それどころか、報道によると、本日の分科会では「Go To」について〈特に議論になることはなかった〉(テレ朝news)というのだ。
今月16日、「Go To」からの東京除外を決めた際、西村コロナ担当相は、東京都の1週間あたりの陽性者数が10万人あたり8.7人となっていることを理由にあげ、「東京は1桁違う」などと説明していた。だが、いまや大阪や福岡、愛知ではこの8.7人を大きく超える状況になっている。しかも、4連休中に都市部へ旅行に出かけて地元で感染が確認されたというケースが、すでに出始めているのだ。
つまり、政府をあげて旅行を推奨したことによって、医療体制が脆弱な地方にまで感染を広げる結果になっているというのに、安倍政権のみならず分科会までもが無視しているのである。
そもそも、昨日おこなわれた参院国土交通委員会で尾身会長は、一両日中に直近のデータが得られるとし、「必要であれば、我々は県を越えての移動は控えたらいいのか、大丈夫じゃないかというのを申し上げたい」と答弁していた。
ところが、尾身会長は本日の会見の質疑応答で「県をまたいでの移動」について問われると、こう答えた。
「感染がかなり増えているところとそれ以外のところは、感染が増えているところから外に出るのは控えていただければと思いますし、感染の少ないところから増えているところに行くというのも控えていただければいいなということを、国に提案したりしております」
「控えていただければいいな」「国に提案したりしてます」って、この感染急拡大の局面で専門家の会議体のトップが口にする言葉がこれとは……。そもそも、提案しているというのなら、どうして分科会で議論がおこなわれなかったのか。いや、この提案に対し、国はなんと返答しているのか。それさえもはっきりとしない。
これはようするに、感染拡大地域の往来自粛=「Go To」からの除外について提案がなされているにもかかわらず、またも政府が拒否しているということなのか。