下地議員と菅官房長官は「シモちゃん」「スガちゃん」の仲で選挙でもタッグ
だが、今回の下地議員の問題では、責任が問われるべき人物がもうひとりいる。菅官房長官だ。
菅官房長官は6日のテレビ番組や7日の会見でカジノ汚職について「IR以前の問題」などと切り捨て、秋元議員の逮捕や下地議員の現金授受問題を踏まえた質問にも、ただカジノの正当性を滔々と説いただけだった。
自民党所属だった秋元議員の汚職疑惑を「IR以前の問題」と言い張るのも聞き捨てならないが、問題は下地議員のほうだ。というのも、じつは下地議員は以前から菅官房長官と昵懇の関係で、カジノをめぐっても接点をもっていたからだ。
下地議員は1996年に自民党から出馬、初当選を果たし、その後、国民新党や維新の党などを転々としてきたが、じつは菅義偉官房長官と初当選の同期。2019年6月19日付の沖縄タイムスは、ふたりが〈「シモちゃん」「スガちゃん」と呼び合う間柄〉であり、昨年6月におこなわれた同期会には下地議員と菅官房長官がそろって出席したこと、その場には安倍首相も駆けつけたことなどを報じている。このとき、下地議員は興奮気味に、こう語ったという。
「沖縄の選挙も一緒にやっているし、よかったよ」
この発言のとおり、沖縄の選挙を取り仕切ってきた菅官房長官が頼りにしてきたのが、維新の下地議員だった。2018年2月の名護市長選を皮切りに自公に維新をくわえた協力体制を構築した菅官房長官だったが、その維新側の要が下地議員だったのだ。
実際、2018年9月の沖縄県知事選では、公示前、菅官房長官はわざわざ維新の県総支部の会合に参加したが、そこで〈沖縄政策の節目節目にアドバイスをくれたのは当選同期の下地幹郎衆院議員だったと持ち上げた〉という(沖縄タイムス2018年9月2日付)。さらに、公示後の選挙期間中も、菅官房長官は下地議員からの求めに応じ、定例記者会見を1時間早めてまでして沖縄入りし、維新の集会に駆けつけている。
下地議員の実家は沖縄の大手建設会社・大米建設であり、辺野古新基地建設工事にも食い込み、2018年3月に2工区をジョイントベンチャーとして防衛省と約73億円で契約している。つまり、下地議員は“新基地建設利権”の当事者という意味においても、菅官房長官とともに自公と維新が推薦する佐喜眞淳候補を県知事にしなければならなかった。だが、じつはこの県知事選には、もうひとつ“利権”が絡んでいた。それがカジノだ。
そもそも翁長雄志・前知事は2014年の県知事選でカジノ誘致反対を訴え、2018年の県知事選でも翁長氏の“後継者”として立候補した玉城デニー氏は公開討論会でも「カジノは必要ない。外国からきた業者が日本人の財産を奪うものだ」と明言していた。だが、逆に菅官房長官は沖縄へのカジノ誘致を組織票につなげようと画策。実際、この県知事選において、自民党県連幹部は「ある自民党幹部は、財界や団体などに対して前国会で成立したカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法のカジノ誘致なども水面下で示していると聞いている」と証言している(「サンデー毎日」2018年9月23日号/毎日新聞出版)。