日本の極右論客と韓国ニューライト論客が結託しリベラル系文在寅政権を攻撃
その後、「ニューライト」運動とその指導者たちは、保守系である李明博・朴槿恵政権の屋台骨となった。実際、朴槿恵は国定教科書策定計画で「ニューライト」系の学者らを重用している。いわば、近年の韓国保守系政権におけるステークホルダーだったのだ。その「ニューライト」系の学者である李栄薫氏らから見れば、当然、9年ぶりに復権した革新(進歩)系政権であり、李明博・朴槿恵など脈々と続いてきた保守政権の「積弊清算」を掲げる文在寅大統領は、まさしく“目の上のたんこぶ”以外の何者でもない。
ようするに、安倍政権を熱烈に支持する日本の極右界隈にとって、「ニューライト」は“敵の敵は味方”どころか、戦前回帰的な歴史修正主義においても“最適のパートナー”なのである。事実、すでに極右雑誌で大宣伝されているように、日本のリビジョニストたちは『反日種族主義』を大いに政治利用している。
たとえば前述の李宇衍氏は、今年7月、国連欧州本部で開かれたシンポジウムに出席し、徴用工問題に関して「強制性はなく、賃金差別もなく、奴隷労働というのは嘘である」という趣旨の発表をおこなったが、実は、李宇衍氏を国連に連れて行ったのは、あのテキサス親父日本事務局長・藤木俊一であったことがわかっている。ハンギョレ新聞(8月27日付)によると、藤木氏は李宇衍氏のジュネーブへの往復航空運賃と5泊6日の滞在費用も負担したという。
いずれにせよ、「韓国で異例のベストセラー」「韓国人が“反日”を糾弾、韓国の嘘を暴いた」などと持ち上げられている『反日種族主義』だが、その実、出版計画には当初から安倍政権に近い日本の極右陣営が関与し、その内容も、歴史修正主義者や安倍首相をバックアップしていることは事実だ。同じ手口は、これからもどんどん繰り返されていくだろう。それこそ、日本極右のヘイト本の言説を韓国の「ニューライト」が展開し、逆輸入的に日本に持ち込まれるという可能性も低くない。政治的策謀と欺瞞に満ちた「日韓右派」の連携を注視すべきだ。
(編集部)
最終更新:2019.11.21 09:31