「血液クレンジング」は医学の専門家からも「効果効能のエビデンスは全くない」の指摘
妙に自己陶酔的なかけあいだが、このように見城社長と秋元氏が大絶賛した「血液クレンジング」が、医療関係者から「ニセ科学」と指摘されているのは前述のとおり。たとえば、美馬達哉・立命館大学先端総合学術研究科教授は、「血液クレンジングで血液がサラサラになる」というカラクリをこう解説している。
〈採血や献血で見る血液は静脈血なので赤黒い色なのだが、オゾンを注入するとテレビや映画の血糊と同じ鮮やかな赤色に変化する。
いかにもクレンジング(浄化)されたような気分になるらしい。
ただし、これはオゾンそのものの作用ではない。オゾンそのものは強い毒性 があるガスのため、オゾンを酸素や空気で20倍以上に薄めたガスが臨床用には使われる。
つまり、血液に酸素をブクブクと吹き込んだ結果、血液中のヘモグロビンと酸素が結びついて、酸素化された動脈血の色つまり鮮血色になる仕組みだ。
これがネット界隈でよく見かける、「ふつうに呼吸していれば血液クレンジングと同じ」という批判(ツッコミ)の意味だ。〉(ウェブサイト「現代ビジネス」10月30日)
美馬教授は、こうしたいわゆる「オゾン療法」と呼ばれるものについて、〈ヨーロッパの一部では補完代替医療として行われている場合もあるが、治療効果について言えばすべて科学的根拠は無い、残念〉と切ってすて、さらに脳神経内科専門医・神経科学者としての見解として、〈オゾンや酸素の過剰は身体のなかに活性酸素を作り出してしまう〉と指摘。〈血液クレンジングは、現在の標準的医学から見れば、何らかの臨床的効果があるというエビデンスはないに等しい〉と論考をまとめている。
また、『「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)などの著書を持つ内科医の名取宏氏は、「BuzzFeed Japan」の取材に対してこう話している。
〈健康な人が「血液クレンジング」を受けても、疲労回復やアンチエイジングといった効果は見込めません。
海外の医学論文を検索すると、自分の血液をいったん体外に出して、オゾンを注入した上で体に戻す「自己血オゾン療法」について、いくつかの疾患に対して効果があったとする研究は存在します。
しかし、エビデンスは不十分で、歴史が長いわりにはいまだに代替医療の一つという位置づけです。ましてや健康な人にプラスの効果があることは証明されていません。
日本において自費診療で行われている「血液クレンジング」はニセ医学だと私は考えます。多くのクリニックでうたわれている効果効能は十分なエビデンスがあるとは言い難く、誇大宣伝だと考えます。〉(「BuzzFeed Japan」10月19日)