岡村の差別・ハラスメントの背景にある日本のお笑い・バラエティの構造
実際、ここでナインティナイン(特に岡村)がおこなった絡み方というのは、日本のバラエティ番組のなかでは、ごくごく一般的に見られるものだ。
今回、『PRODUCE 101 JAPAN』の公開収録に参加した人たちは、普段からK-POPに親しみ、『PRODUCE 101』シリーズのファンが多かったはずだ。K-POPのアーティストやファンはジェンダーや人種差別といった問題に関して、高い意識をもっていることで知られている。だからこそ、岡村の発言に違和感と怒りを抱き、それを表明することができた。
しかし、もしも日本のお笑いやテレビしか知らないオーディエンスであったら、「バラエティとはそういうもの」として見過ごされていた可能性もある。
事実、今回の炎上を受けてなのか、SNSには〈日プ(引用者注:『PRODUCE 101 JAPAN』の俗称)の反応見ていてポリコレ棒振りかざし民多いんだなぁ感ある〉といった投稿も見受けられた。
本サイトでは、『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』(Amazonプライムビデオ)などに見られる、松本人志の圧倒的な権力を背景とした、差別やハラスメントによる笑いの構造を批判してきた(https://lite-ra.com/2018/02/post-3817.html)。
岡村が『PRODUCE 101 JAPAN』の公開収録でおこなったことは、こうした日本のバラエティの体質の延長線上にあるものだ。「強者が弱者を貶め、視聴者はそれを見て笑う」という構図、枠組みのなかでコミュニケーションがおこなわれ、ハラスメントや差別も、「笑い」の名のもとに免罪されてしまう――。
実は、こうした差別・パワハラ的な笑いの悪影響について、フォーリンラブのバービーが鋭い指摘をしていた。