フォーリンラブのバービーが語った“自虐ネタ”の差別加担
8月30日放送『ACTION』(TBSラジオ)に出演した際、パーソナリティを務めるライターの武田砂鉄に対し、バラエティで定番の“外見いじり”や自身の“自虐ネタ”について、バービーはこう語ったのだ。
「1回コメントをもらったことがあるんですよ。私がテレビでギャンギャン“ブス”とか“デブ”とかいじられているのを見て、女の子からのコメントで「私はバービーちゃんのことそんなにブスだと思ってないし、私と同じぐらいだと思っているから、私が『ブス』『デブ』と言われているように感じてすごくショックだった」っていうコメントをもらって。
そのときに、自虐はいけないなと思ったのと、やっぱ自虐してるっていうことは、物差しをもっているわけじゃないですか、ここからはいじっていいとかダメとか」
「だから、『すべての人は平等ですよ』と言っているわりに、その自虐の物差しは許されるっておかしいなっていうのは気持ち的にはあって」
ようするに、お笑い芸人やタレントの差別に対する意識の低さはテレビのなかの話だけでは済まないのだ。お笑い芸人やタレントの差別的な言動は、テレビを通して大衆のなかにある劣情・差別意識にお墨付きを与えることになる。社会のなかで差別に対する許容範囲がいったん広がればまたお笑いやテレビにフィードバックされ、芸人たちはさらに過激な差別的言動をみせる。
しかも、芸人たちは「コンプライアンスが厳しくなってつまらなくなった」などと嘆いてみせるが、むしろ逆で、こうしたいじめ、差別的な笑いはこの間、どんどんエスカレートしている。岡村にしても、単に意識が更新されていないだけでなく、むしろ悪質化した感すらある。
いまの日本社会の差別意識・弱者バッシングがどんどんエスカレートして、ほとんど底が抜けた状態になっているのも、こうしたお笑いのありようが影響を与えている面は大いにあるだろう。
芸人やテレビ番組制作者は、今回の炎上を機に、お笑いのあり方をもう一度考え直すべきではないのか。2010年代も終わろうとしているこの時代に、まだ差別的なコミュニケーションに頼って笑いをつくろうというのは、国際社会では通用しないというだけでなく、芸人としての怠慢以外のなにものでもないのだから。
(編集部)
最終更新:2019.09.20 01:14