旭日旗正当化は安倍政権と極右陣営の大日本帝国肯定・歴史修正主義の象徴
ところが、安倍政権になってからというのもの、スポーツの試合などで旭日旗が議論になるたびに、政府は「日本国内で広く使用されている」などと強弁、正当化するようになった。今月12日には、橋本聖子・五輪担当大臣が五輪会場への旭日旗の持ち込みについて「旭日旗が政治的な宣伝になるかということに関しては、決してそういうものではない」と語り、容認する認識さえ示している。この豹変は逆に、安倍首相のような極右陣営にとって、旭日旗がいかに“理想とする戦前回帰的イデオロギーの象徴”であるかを物語っている。
もうひとつ、いい機会なので言っておくが、旭日旗を日本の帝国主義・軍国主義のシンボルと感じているのは、別に韓国だけに限った話ではない。中国、香港、台湾あるいは日本が侵略したアジアの国々はもちろんのこと、アメリカでも、旭日旗の意匠は報道や小説などの創作物のなかでたびたび「戦中の大日本帝国」の意味で使われている。たとえば米国の対日貿易摩擦では、米国右派など一部から日本批判の流れで旭日旗が出てきたことがあった。言うまでもなく、日本製品による経済的な“侵略”ととらえる文脈だ。
いずれにしても、『ワイド!スクランブル』が無批判に紹介した「奇誠庸の猿まねパフォーマンスをフォローするために騒ぎ出した」というような話はデマであり、問題のスリカエ、旭日旗問題の矮小化以外のなにものでもない。
なお、番組ではこの後もスタジオで、『「反日モンスター」はこうして作られた 狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社)、『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館)などの著書を持つ著述家の崔碩栄氏が “旭日旗に似ているデザインは韓国のあちこちにもあって、批判したりしなかったりするのはダブルスタンダード”という趣旨の発言をしていた。
例の「東京パラリンピックのメダルのデザインが旭日旗を連想させる」という主張もそうだが、日本のマスコミの間では「韓国側があれもこれも『旭日旗』だとクレームをつけている!」として蔑むような報道が多くみられる。たしかに「それは違うだろ」と思わざるを得ないものもなかにはあるかもしれない。しかし、間違えてはならないのは「旭日旗に似ているか似ていないか」というのは副次的な話に過ぎないということだ。「それだけ韓国内では旭日旗に対する拒絶感がある」という事実を、まずは真摯に受け取とめるべきだろう。