旭日旗を肯定した解説者の正体 歴史教科書問題で学校に卑劣圧力をかけた極右
海軍でも旭日旗には単なる「軍艦の旗」以上の意味付けがなされた。たとえば1902年に海軍少佐・奥田貞吉の名前で著された「帝國國旗及軍艦旗」には、〈軍艦旗ハ海軍ニ於ケル主權ノ表章ニシテ戦時平時ヲ問ハス軍艦及海軍所用の船艇ニ掲揚セラルヽモノトス〉とあり、その意匠には〈我帝國ノ武勇ヲ世界ニ輝カセ〉とか〈帝國ノ國權ヲ地球ノ上ニ發揚セヨ〉との意味があるとされている。つまり、旭日旗には国威発揚や帝国主義の正当化を図る示威行為の意図があったのだ。
こうした歴史的な経緯をネグって「旭日旗は伝統的なデザイン」などと強弁したところで、何の説得力もないのだ。まして、「旭日旗をなぞらえるべきはハーケンクロイツではなく鉄十字」というのは屁理屈未満だ。だったら聞くが、ハーケンクロイツはナチスドイツの国旗になった一方、大日本帝国では日の丸(日章旗)が「国旗」として扱われた。ところが、「旭日旗は鉤十字とは違う!」とわめくネトウヨたちが、日章旗をナチの国旗になぞらえることは決してない。結局のところ、旭日旗を正当化するため、揚げ足取りをしているに過ぎないのである。
ところが、番組は、水間氏による旭日旗正当化の屁理屈を全面的に肯定するかたちで垂れ流してしまった。だが、そもそも水間氏の正体は、慰安婦問題や南京虐殺を否定する論陣を張って、日本会議の集会などで講師も務める自称「歴史研究家兼ジャーナリスト」だ。その著書は、百田尚樹氏らネトウヨ系文化人の“元ネタ”にもなってきた。
しかもこの水間氏、2年前には、中学校の歴史教科書採択にOB・OGを名乗って圧力をかけるというむちゃくちゃなキャンペーンを扇動したこともわかっている(参考記事https://lite-ra.com/2017/09/post-3440.html)。そんな人物を「専門家」として紹介し、その言い分を垂れ流す『ワイド!スクランブル』は、いったいどういう了見をしているのか。
いや、『ワイド!スクランブル』のトンデモぶりはその後も続いた。小松アナは「では、韓国はいつからこの旭日旗を問題視するようになったのか」と言って、元駐韓大使である武藤正敏氏のコメントを紹介。武藤氏といえば、同番組をはじめ、連日のようにワイドショーに出てきては韓国バッシングを発信している御仁だが、ともあれ、『ワイド!スクランブル』では小松アナがこう説明した。