「金属バット」の黒人差別も問題に! 日本のお笑い、メディアの差別性
そして、今回、Aマッソによる大坂なおみ選手への差別ギャグがここまで大きな問題になっているのに、『今夜くらべてみました』がこうしたブラックフェイス的なギャグをカットもせずに放送したのだ。
この芸に対して、スタジオにいた出演者たちは爆笑、司会のひとりであるフットボールアワー後藤輝基は「アカン、アカン。こんなもん1秒もアカンで」とつっこんでいが、この「アカン」は差別的な表現に対してダメ出しをしたわけではなく、「3秒どころか1秒も似ていない」という趣旨で、むしろ笑いを増幅させるいじりに過ぎなかった。
いずれにしても、Aマッソの炎上の最中に、地上波のテレビ番組がこんな差別的なネタをカットもせず、堂々と放送したというのは、日本のお笑いやテレビが、いかに差別やハラスメントの問題に無知であり、無頓着であるかを物語っていると言っていいだろう。
実際、Aマッソの炎上を受け、もっと酷い差別ネタの存在も指摘されている。若手お笑いコンビ・金属バットがネタのなかで「黒人が触ったもの座れるか!」というセリフを口にしていることが明らかになり、炎上しているのだ。しかし、金属バットは真摯な説明や謝罪をするどころか、メンバーのひとりの小林圭輔にいたっては〈Aマッソの流れ弾でKKKが炎上してまう〉と、白人主義団体のクー・クラックス・クランの名前を出しながら揶揄するツイートを投稿した。
しかも、問題は日本では、こうした差別表現を擁護する声が少なくないことだ。Aマッソの炎上に関しても、ネット上では「なんでもかんでも差別と言う人間のせいで世の中が生きづらくなる」「コンプライアンスのせいで笑いが面白くなくなる」といった意見が散見された。
しかし、わかっていないのは、差別やいじめネタがイコールお笑いだと勘違いしている連中のほうだ。むしろ、日本の後進的なお笑いが社会の差別横行と弱者いじめを助長しているという構造を、私たちはもっと真剣に考えるべきではないか。
(編集部)
最終更新:2019.09.27 06:59