松本人志とそれを批判した加藤浩次(左『スッキリ」右『ワイドナショー』番組HPより)
今日の『スッキリ』(日本テレビ)で、加藤浩次が吉本興業の岡本昭彦社長だけでなく、大崎洋会長の責任について言及、こんな勇気ある発言をした。
「大崎会長は会長といえども、代表取締役会長ですから、代表権をもっているということ。代表権をもっている会長には責任があると思う」
「いまの吉本の状況。大崎さん、岡本さん、この二人をみんな怖がってる」
「この体制が、いまの社長、そして、会長の体制が続くんだったら、僕は吉本興業を辞める」
「実際にそれ(吉本の対応方針)は取締役会で決まってる。大崎さんはなにも知らないって言うかもしれないけど、絶対知ってる。これは僕の意見として言いたい。俺は辞める! この取締役が変わらないんだったら。僕はそこを本当に思う」
たしかに、吉本興業をワンマン支配しているのは、大崎会長であって、岡本社長はその傀儡に過ぎない。この方針について、大崎会長が知らなかったということはあり得ない。
しかし、所属芸人である加藤がリスクを冒してまで、こんな踏み込んだ発言をしたのは、理由がある。それは、前日、松本人志が『ワイドナショー』(フジテレビ)で宮迫とロンブー亮の会見を取り上げ、「大崎会長が辞めるなら僕も辞める」と発言したことだ。加藤はそれ以降に起きた世論の変化に、強い危機感を覚えたのだろう。実際、加藤は続けて、松本の発言について、こう反論した。
「昨日、松本さんが『ワイドナショー』でおっしゃていた。大崎さんが辞めるんだったら、僕も辞めるっておっしゃっていた。大先輩に対して僕がこんな口をきくのはおこがましい話かもしれないですけれども、松本さんにとってはずっと一緒にやってきて、大崎さんっていうのは同志だと思う。松本さんの気持ちはすごいわかる。でも、松本さん! 後輩ながら言わせてもらいますけど、会社のトップなんです。みんなつらい思いしてて、会社のトップが責任とれない会社って、機能してるのかな」「松本さんがお世話になった大崎さんていう方、本当にすばらしい方だと思うけど。いまは取締役会長っていうお立場ですから、そこは松本さん、辞めるとか言わないでもらいたい。そうなって新しい会社を、松本さん中心に作っていただきたいなって、僕は考えています」
加藤は吉本の事実上のドンである松本にはかなり気遣いを見せていたが、それでも覚悟をもって「松本の大崎擁護は公私混同だ」と批判したのだ。
実際、『ワイドナショー』の松本人志はひどかった。マスコミだけでなくネット民までが「松ちゃんの男気を見た」とすっかり騙されているが、一見、上層部の批判をして芸人たちを擁護しているようで、実際は吉本の上層部のシナリオ通り“岡本昭彦社長のパワハラが問題なだけで、大崎洋会長は悪くない”というふうに世論を誘導したに過ぎなかった。
あらためて言うが、今回、雨上がり決死隊・宮迫とロンブー亮が会見で語ったのは、岡本社長が「だったら連帯責任で全員クビだ」と言ったというパワハラ問題だけではない。会社側は宮迫ら芸人たちから金銭を受け取っていたことを6月8日の段階で報告を受けていながら、24日まで、20日近く隠蔽し続けたことを明かしたのである。