仲良しアピールの一方、トランプ大統領のいいなり!(首相官邸番組HPより)
やっぱり“急加速”させてきた。中東ホルムズ海峡をめぐる“自衛隊のイラン派兵”のことだ。参院選投開票翌日の22日、来日中のボルトン米大統領補佐官が、官邸の谷内正太郎・国家安全保障局長、岩屋毅防衛相、河野太郎外相と相次いで会談。日本の「有志連合」参加について具体的に話し合われたと見られている。
周知の通り、米国とイランとの緊張の高まりを背景に、トランプ米大統領はホルムズ海峡の「航行の自由確保」を名目として、軍事的な「有志連合」の結成を各国に呼びかけた。つまり、米国を中心にした多国籍軍に入って軍事行動に協力しろ、と日本も迫られているのだ。
ところが、安倍政権は姑息にも、“自衛隊の海外派遣”が参院選の争点にならないよう、この間、有志連合参加の件を徹底してはぐらかしてきた。
たとえば、菅義偉官房長官は12日の記者会見で、米国から有志連合参加の打診があったかについて「イラン情勢について日米間でさまざまなやりとりをしているが、内容は控えたい」とごまかした。また、岩屋毅防衛相は16日の会見で「現段階でホルムズ海峡へ自衛隊を派遣することは考えていない」とコメント。西村康稔官房副長官も、17日の会見で有志連合について聞かれ「米国をはじめ関係国と連携しつつ、中東における緊張緩和と情勢の安定化に向けて外交努力を継続したい」と述べるにとどめていた。
だが、すでに選挙期間中には“日本の有志連合参加”は既定路線になっていたとみて間違いないだろう。実際、12日には米国務省のスティルウェル次官補が谷内正太郎・国家安全保障局長や外務省、防衛省幹部らと会談。政府は内容について公にしていないが、これは、すでに水面下の実務的なレベルで協議されていたことに他ならない。ようするに、安倍政権は参院選に影響を与えないように、この間、国民にひた隠しにしてきたのである。
まったく、卑劣にもほどがあるが、このまま日本が有志連合へ参加することになれば、物資運輸等の後方支援や救護活動程度ではすまされないだろう。米国と安倍政権は、自衛隊を直接、ホルムズ海峡に派遣し、集団的自衛権の行使という展開にもっていこうとするのは確実だ。
思い出してほしいのが、安倍首相が2015年に安保法制を強行する際、「ホルムズ海峡における機雷掃海」を集団的自衛権行使による海外派兵の代表例として、何度も喧伝してきたことだ。これについては多くの反論が出て、結果的に国会審議の終盤、事例として撤回するまで追い込まれたのだが、そもそも安保法制自体が米国の要請によるものだった。
事実、安保法制に多大な影響を与えた2012年の「第3次アーミテージ・ナイ リポート」でも〈イランがホルムズ海峡を封鎖するとほのめかしたら、自衛隊は掃海艇を派遣すべきだ〉とされている。つまり、“ホルムズ海峡への自衛隊派兵による米国船防衛”は、米国からの長年の要望であったのだ。
しかも、トランプ大統領はもっと強硬で、「日米安保の不公平さ」を公言し、日本政府へのプレッシャーを強めている。6月24日にはTwitterで、ホルムズ海峡のタンカーについて〈中国は91%、日本は62%、ほかの国も同じようなものだが、あの海峡から原油を運んでいる。なぜ、われわれアメリカがそれらの国のために航路を無償で(何年にもわたって)守っているのか。そうした国々はみな、危険な旅をしている自国の船を自国で守るべきだ〉(編集部訳)と投稿している。