安倍首相と麻生財務相は消費増税のために賃金伸び率を急伸させた?
この賃金偽装につながる統計作成手法の変更に麻生財務相が“関与”していることをいち早く指摘した西日本新聞の記事(2018年9月29日付)では、こう記述している。
〈アベノミクスの旗振り役として賃金の動きを注視していた麻生氏。見直しに向けた議論は、この「鶴の一声」に歩調を合わせるように始まった。数字が変動する事後的な補正を避けるため、サンプルは総入れ替えでなく段階的な部分入れ替えとする─。こうした厚労省方針は17年に政府の統計委員会に承認され、18年から実行に移された。
これにより、統計上の賃金上昇率は急伸する。〉
これは、たんに厚労省が麻生財務相に忖度し、ひそかに変更した結果なのだろうか。そうであれば、安倍首相は昨年8月にマスコミが「賃金伸び 21年5カ月ぶりの高水準」と報じた際に、自信満々に「これこそアベノミクスの成果」と胸を張ったはずだ。だが、それはけっしてしなかった──。
その事実を踏まえると、安倍首相は、昨年1月から統計作成手法が変更されることも、その結果、賃金伸び率が急伸することも最初からすべて知っていた。だからこそ、この数字を根拠に「アベノミクスの成果」と誇ることのリスクも承知していたのではないか。それどころか、麻生財務相の指示も安倍首相と相談した上のことだった可能性もある。
そして、安倍首相と麻生財務相が賃金偽装をおこなった理由は、無論、今年10月から予定どおり消費税を増税するためだろう。賃金が伸びないなかで消費税増税の今年10月からの実施を発表すれば、世間も野党も黙っていない。予定どおりに事を進めるためには、2018年はなんとしても賃金伸び率を急伸させざるを得なかったはずなのだ。
これはあくまで推論にすぎないが、安倍首相が同席する場で麻生財務相が「アベノミクス偽装」につながる統計作成手法の変更を指示したことは事実だ。安倍首相は今年10月からの消費税増税実施のためにも、必死になって「賃上げされている」「所得環境は改善している」と言い張りつづけるだろうが、実質賃金がマイナスである以上、増税はあり得ない。野党は徹底的にその点と、安倍首相と麻生財務相の「アベノミクス偽装」への関与を追及してほしい。
(編集部)
最終更新:2019.02.01 11:38