爆破予告は報じてもその原因のナチ礼賛発言は報じないメディア
いや、問題は高須院長の言動だけには留まらない。このような国際的問題に発展しているにもかかわらず、日本のメディアがまったくそれを問題視していないことも異常だろう。
とくに驚いたのが、高須クリニックが爆破予告を受けていたというニュースだ。この爆破予告そのものについては、テレビ局も一部では取り上げたが、その背景にあるとみられる高須院長のナチス礼賛発言については、一切報道しなかったのである。
SWCが欅坂46の衣装がナチスの制服に極似しているとして抗議声明を発表したときはテレビも報じていた。一方、今回の高須院長は、明確なナチス礼賛・ナチス犯罪の否定であり、深刻度は桁違いだ。にもかかわらず、テレビは国際的に発言が問題化していることにダンマリを貫いているのである。
しかも、高須院長は24日には『ダウンタウンDX』(読売テレビ)に出演し、例の民進党・大西健介議員を名誉毀損で訴えた裁判について、意気揚々と語っていた。
テレビが裁判になっている案件、しかも、名誉毀損が成立するとは考えられない裁判を起こした当事者に、ここまで自分の主張を一方的に語らせるというのは普通ありえない。
『ダウンタウンDX』を制作する読売テレビは、『情報ライブ ミヤネ屋』でこの裁判に対して浅野史郎・元宮城県知事が行ったコメントをめぐって、「読売テレビとしても、高須院長、および視聴者の皆さまに誤解を与える放送をしましたことをお詫び申し上げます」と社をあげて全面謝罪をおこなったばかりだ。このとき、高須院長は浅野氏への訴訟をちらつかせると同時に〈とりあえずミヤネ屋の提供降りるか。詫びを急いだほうがいいと思うけど…〉とツイートしており、読売テレビはこれに震え上がったとみられている。
こうした経緯を考えると、今回のナチス礼賛発言問題をテレビが一切ネグっているのも、高須クリニックが大量のCMを出稿する企業であることが影響を与えているであろうことは想像に難くない。金をもつ人間には放言が許される──それが日本のメディアの現状なのだ。
しかし、国際社会にその論理は通用しない。SWCはじめユダヤ人団体の高須院長への抗議はこれから本格化するだろうし、日本のメディアも批判を受ける事態になりかねない。
(編集部)
最終更新:2017.08.26 12:35