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高須院長が今度はナチス医学を評価! 障害者を抹殺していたのに…マスコミはなぜ高須院長の言動を報道しないのか

ナチスの医学が行った障害者安楽死と人体実験という歴史的犯罪

 ナチスがガス室を使ってユダヤ人を大量虐殺したり非道な人体実験を繰り返したことはよく知られているが、医師たちは障害者や難病患者を「生きるに値しない命」と喧伝し、「安楽死」という名の虐殺をもおこなってきた。医師が大量殺人に加担してきたのである。

「生きるに値しない命」という障害者の命を選別する思想は、精神科医だったアルフレート・E・ホッヘと法学者のカール・ビンディンクが『価値なき生命の抹殺に関する規制の解除』(1920年)で主張したものだが、ナチスはその“障害者は安楽死させろ”という論を実行に移した。

 ヒトラーは1933年に政権を獲得してすぐ、優生学思想に基づき、「断種」や「安楽死」を法制化。同時にナチスは障害者は“金食い虫”であると訴えた。その旗振り役となったのは、医学界だ。

『ナチス もう一つの大罪─「安楽死」とドイツ精神医学』(小俣和一郎/人文書院)によると、1934年に帝国医師会会長のゲルハルト・ヴァーグナーは“年間の国家予算から1億2000万ライヒスマルクが障害者のために支出されている”と強調。医療現場でも〈各地の代表的な精神病院では、政治家や官僚のために特別なセミナーが催され、入院患者は見学者の前で人類退化の実例として供覧に付された〉という。

 そうしたなかで最初に安楽死作戦のターゲットとなったのは、障害児たちだった。1939年には障害児の安楽死を担当する委員会が設置され、そのメンバーは眼科医や小児科医といった医師たち。障害児たちはガス室のほか薬物の過剰投与、さらには施設を爆撃するといった方法で殺害されたという。

 その後、ナチスは占領下のポーランドで精神患者の大量虐殺に着手し、推計約1万3000人を殺害。1940年にはドイツ国内でも精神病院にガス室がつくられ、障害者抹殺がはじまった。医師が殺害する患者を選別し、ときに医師がガス栓を操作したのだ。

 この安楽死作戦は「T4作戦」と呼ばれているが、これによって殺害された障害者の数は、20万人とも30万人とも言われる。T4作戦こそが、のちの強制収容所におけるユダヤ人虐殺につながっていくのである。

 さらに言えば、そもそもナチス下のドイツ医学の業績じたい、こうした非人道的な人体実験などによってもたらされた部分が大きく、その業績だけをナチスのイデオロギーや罪と切り離して評価できるものではない。ましてや医師が「素晴らしい」「尊敬に値する」などと手放し称賛できるようなものでは決してないのである。

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