自分と違う価値観を断罪するマスコミと『グッディ』での “謝罪”“反省”圧力
——ここ最近、覚せい剤など事件を起こして逮捕された芸能人たちは、取材陣に向かってお辞儀するだけだったり、一言だけお詫びのコメントを出すだけでしたが、しかし高樹さんはきちんと囲み取材に応じました。にもかかわらずそれがバッシングの材料にされてしまった。さらにそんな状況下でも、『直撃LIVEグッディ!』(フジテレビ)の密着インタビューにも応じ、結果、さらにマスコミの餌食にされてしまいました。
高樹 『グッディ』は最初、中立めいたかたちでやるとおっしゃってくれていて……。まあ私もこの世界は長いから、だいたい結果は見えていたんですけどね(苦笑)。それでも密着取材に応じたのは、判決後の会見が短すぎて、自分の真意が十分に伝わらなかったと思ったからです。これまで大麻に関わり、また事件にもなった以上、きちんと説明したかったし、その責任もある。放送後、意外にも批判だけでなく賛同してくださる方も多かったんですよ。病気で苦しんでいる人たちのために使えるのであれば、それに有効な病に効くのであれば、使ってもらいたい。それはいまでも本当に思っています。
——『グッディ』では現行法を犯したことは申し訳ないけれど、そもそも現行法がおかしい、その信念はバッシングされても変わられない、曲げられない、という発言もありました。しかし気になったのは、番組の構成、つくり方です。ナレーションも悪意がありましたし、質問する記者も執拗に“謝罪”や“反省”を求めるものでした。それに対して、「十分法律を犯したことについては謝罪しているし、社会的制裁を受けている」「それ以上、なぜ毎日、毎日、みんなに謝らなくちゃいけないのか」と高樹さんは発言しました。医療用大麻の存在すら無視しようとする理不尽なマスコミに対して、正直だし、その勇気はすごいものがあると。
高樹 私の事件だけでなく、いまの日本全体に顕著だと思いますが、自分の価値観と違うということを断罪するんでしょうね。それに抗するのは、覚悟していたとはいえ、もちろん怖いですよ。でも、それでも「ごめん」とは謝れない。怖いけど、でも嘘はつけない。その気持ちを、正直に表してしまったんです。芸能界やマスコミ批判とも取られる発言もしたので、芸能村からはハブんちょだな、とは思いましたけど(笑)、でも正直な気持ちとして裁判でも同じようにお話をさせていただきました。法律を犯したことは反省するけれども、海外と比較してみてくださいと。日本と海外の解離を考えると、日本はやはりおかしいと思っていますし。先ほどもお話したように、今後は先頭に立って活動することは考えていませんが、でもこれまで大麻解禁を訴えてきた責任もある。人から医療大麻について聞かれることもあるでしょう。そのときに「もう関係ない」なんて言えない。これからも質問されたら医療用大麻の素晴らしさについて答えてしまうし、二度と使わないなんて約束もできない。医療として解禁される夢はまだもっていますし、そうなれば私自身も使いたい。そういう意味でも謝れないんです。今回の事件で、マスコミからバッシングを受けましたが、しかし医療大麻という存在の“種”を世の中に蒔けたとは思います。昨年の参院選では、東京だけだったかもしれませんが、今回の事件が大きく報じられたことで、日本国中が医療大麻の存在を知ってくれた。私の逮捕は、ある意味日本での第一歩かなと思う。確実にみんなの脳裏に、医療大麻って何?とインプットされた。あとは専門家が正しい情報を伝えてくださり、議論がはじまることを期待したいです。