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マスコミが触れない村上春樹『騎士団長殺し』の核心部分(後編)

村上春樹自身が「歴史修正主義と闘う」と宣言していたのに…マスコミはなぜ『騎士団長殺し』の核心にふれないのか

朝日と毎日のインタビューで語っていた春樹自身の「闘争宣言」

 しかも、この姿勢は、『騎士団長殺し』出版後にさらに鮮明になる。『騎士団長殺し』発売から1ヵ月ほど経った4月2日、春樹は朝日新聞、毎日新聞などのインタビューに同時に登場し、こう語った。

「歴史というのは国にとっての集合的記憶だから、それを過去のものとして忘れたり、すり替えたりすることは非常に間違ったことだと思う。(歴史修正主義的な動きとは)闘っていかなくてはいけない。小説家にできることは限られているけれど、物語という形で闘っていくことは可能だ」(毎日新聞)

「歴史は集合的な記憶だから、過去のものとして忘れたり、作り替えたりすることは間違ったこと。責任を持って、すべての人が背負っていかなければならないと思う」(朝日新聞)
 
 歴史修正主義の動きと、物語という形で闘っていく――。春樹自身が、ハッキリとそう宣言したのだ。その“闘うための物語”がこの『騎士団長殺し』であることは、言うまでもない。

 しかし、このインタビューが出た後も、マスコミはこの春樹の真意を無視し続けている。すでにいくつかの評論が出ているが、この作品で問われた歴史修正主義や戦争責任に関する問題を明確に語る評論家はほとんどいない。この物語が歴史修正主義に抵抗する小説だと、誰も言わない。戦争責任を引き継いでいかなければならないという示唆に触れる者もいない。上述の毎日や朝日のインタビュー記事ですら、これだけ重要な発言をしているにもかかわらず、タイトルは「震災、再生への転換 一人称に戻る」「物語の与える力、信じる」と、歴史修正主義批判とは関係のないものだった。

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