ようするに、2人の発言からは、司会者としての責任や芸能事務所タブーに対峙する気概などひとつもない。“縛り”を認めはしたものの、自分たちのやっていることは“バラエティ”だと逃げ、“芸能スキャンダルはやりたくない”“ネットやスポンサーが怖い”などと言い訳に始終しているだけだ。実際、『とくダネ!』『バイキング』ともに、バーニングのレコ大買収疑惑などは一切触れていないし、ジャニーズの熱愛などもほぼ無視して報じることなどない。また昨年12月、長渕剛がメディアやワイドショー批判のメッセージを発し、大きな話題となったが、音楽には煩い小倉はほんの一瞬だけ触れただけ。坂上に至っては“ワイドショーは悪くない”“視聴者の問題”などと当事者意識ゼロの責任逃れまでしている。
そもそもこれは松本人志の発言からしてそうだった。世間が称賛した松本発言だが、本サイトでは情報番組をもつMCとして松本が自らの責任に踏み込んだものでも何でもなく、むしろ自分たちはタブーを抱えたテレビ局に“恥をかかされている”と責任転嫁しただけだった。
結局、松本、小倉、坂上ともに、自分たちはこうしたタブーに抗ったとアリバイ工作をしたにすぎない。
いや、それどころか、坂上と小倉にいたっては、「テレビが大手芸能事務所のことを扱えない」ことを完全にネタ化してしまったことで、「テレビのお約束なんだからそんな目くじら立てなくても」というような空気を生み出し、テレビのタブーにお墨付きを与えてしまった。
そういう意味では、こういう見せかけの過激討論バラエティ番組というのは本当に罪深い。これだったら、『ヒルナンデス!』(日本テレビ)のようにグルメ情報でもダラダラ流しているほうがはるかにマシだろう。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.11.15 05:52