スタジオはこの発言に爆笑となったが、ごまかされてはいけない。ようするに、小倉はこの自粛を完全にネタ化することで、問題をネグってしまったのだ。しかも小倉はその後も、まるで他人事のように、こんな開き直りコメントを連発した。
「僕自身は芸能界のプライバシーの部分はあまりやりたくない人なんです。本当なら芸能だったら芸事、音楽だったら歌のことを徹底的にやりたい。でもどうも、そういうほう(芸能ネタ)に走っちゃうし、そうじゃないと数字が取れない。でも数字を取ろうとすると事務所やいろんなところから圧力がかかる。その間で揺れ動いてるんですよ」
「昔は特ダネのスクープがあったら各局やったんだけど、最近は週刊誌が口火をきってくれないとやらないという風潮がある、怖いんだよね。ネットで叩かれたりスポンサーが落ちたりするのが怖い」
こうした小倉の開き直り発言に、水道橋博士が「報道は絶対にしなければいけないこと」と、報道と芸能界のしがらみがぐちゃぐちゃになっている状態について批判的なコメントをしたが、今度は坂上から、唖然とするような発言が飛び出した。
「僕も日々、こういうものと向き合いながら、毎日過ごしてるわけですが、『バイキング』はバラエティというところがあって、ちょっと話聞いていて違うなと」
確かに『バイキング』は“生ホンネトークバラエティ”と銘打たれてはいるが、しかし芸能ニュースどころか、さまざまなニュースを論評する“深彫りニュース”などと題したコーナーもあり、政治や社会問題まで扱っている。明らかに世論形成に大きな影響を与えている番組なのだ。それを都合が悪くなると、“バラエティだから”などと言って逃げるとは……。
坂上は、こういった“ワイドショーやバラエティは報道と違うから”などという甘えた姿勢が、どんな事態を引き起こしてきたか、知らないのだろうか。たとえば、1989年の坂本弁護士一家殺害事件は、TBSのワイドショー『3時にあいましょう』が“自分たちは報道をやっている”という自覚をもたず、オウム真理教に要求されるままに坂本弁護士のインタビュービデオを見せたことが発端だった。
他にも、ワイドショーはさまざまなずさんな取材、不祥事を繰り返し、90年代には一時、ニュースを一切扱わなくなったのだ。
いま、まさにそういうことが繰り返されようとしているのに、よくもまあ、こんな無責任なことが言えるものだ。