まず、電通は最高裁への見積もりのなかで「再録下5段広告制作費」として600万円を計上していたが、この「再録」広告は過去に広告代理店の廣広社が作成した版下を電通に貸し出したものであり、制作の実体がなかった。また、電通はフォーラム実施のための事業費を「事務局経費」として1815万円を計上していたが、この事務局経費にも実体がなかった。さらに、4000万円近い金額が「地域力活性化研究室」という謎の会社の代表者や関係者に流れていたという(「週刊朝日」2007年3月23日号/朝日新聞出版)。
血税が不正に電通に流れていた可能性が濃厚なこれらの架空・水増し請求問題。しかし、こうした問題を追及したのは「週刊朝日」や「週刊金曜日」(金曜日)などのメディアだけ。サクラ動員問題にしてもPRを請け負った電通に非があるのは明白だったが、新聞社にばかり責任が押し付けられる始末だった。
メディア内に電通タブーがあるかぎり、五輪東京招致の裏金問題のように疑惑が浮上しても、その責任がマスコミによって追及されることはない。そして、今回の電通の不正問題のような不祥事は繰り返されていくだろう。
(編集部)
最終更新:2017.11.24 07:14