そもそも、今回の事件は、容疑者が有名人だったことに色めき立った群馬県警が、強引に「強姦致傷」に事件を大きくしてしまった可能性が高い。
「今回の事件はもちろん、女性が告訴していれば“強姦罪”は成立する可能性が高い案件でした。しかし、非親告罪である“強姦致傷”とするのはかなり無理があった。女性の側も右手の手首や親指を打撲したと言ったのも、単に“強姦”についての供述の流れで出てきただけで、“致傷”を訴えたわけではなかった。それを、有名人を絶対に逮捕したいと考えた群馬県警が、非親告罪の“強姦致傷”に無理やり誘導していったようなんです」(群馬県警担当記者)
さらに群馬県警は高畑が女性を計画的に電話で呼び出し、部屋に引きずり込んだなど、嘘の情報をマスコミにリークして、どんどん騒動を大きくしていった。
「とにかく、こういう有名人がらみの事件はめったに起きないので、群馬県警は大はしゃぎ。聞いてもないのに、どんどん情報を漏らしていました」(前出・群馬県警担当記者)
ところが、フタを開けてみたら、事件は“強姦罪”は成立するものの、“強姦致傷罪”が成立するようなものではないことが判明した。しかも、示談が成立し、検察も強姦致傷で公判を維持するのは不可能と判断。不起訴処分という結論を下した。これは、群馬県警の明らかな勇み足であり、捜査ミスだった。
そこで、群馬県警は、自分たちの責任を追及されないよう、知人男性が暴力団関係者であることなどを週刊誌にリークして、あたかも「この男性のせいで捜査が頓挫した」かのような情報操作を行おうとしたのではないか、というのだ。
事実、「文春」にはこの知人男性が「事件解決のネック」であったとの記述がある。つまり、この男性の存在によって不起訴が決定づけられたかのように誘導することで、群馬県警が自分たちの責任を逃れようとした可能性は高い。
改めて強調しておくが、今回の事件は女性側になんの落ち度もない、完全な被害者だ。知人男性の素性は事件とは無関係だし、仮に高額の示談金を要求したとしても、行為によって受けた傷や、高畑は有名人であること、その後に騒動に巻き込まれ好奇の目にさらされることを考えれば、当然のことだ。
それを、自分たちの責任逃れのために被害者側に問題があったような情報をリークする警察と、それに丸乗りする週刊誌。これではいくら取材しても、被害者のプライバシーを暴くだけで、事件の最大の問題にはたどりつけないだろう。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.11.24 07:01